安倍の狙い

 2015年度与党税制改正大綱で法人実効税率の引き下げを決定した。
 日本の企業に対する法人税が世界標準と比べて高いから引き下げることによって日経企業の海外移転防止と海外企業の誘致が可能になると安倍は昔から言ってきたが、日系企業が海外に進出したのは円高のせいであり、日本の法人税は元々高い訳ではなく、何等の効果を生まないであろう。

 富岡幸雄著「税金を払わない巨大企業」文春新書を読んだ。p91の図1に「資本金階級別法人税実効負担率」のグラフが乗っている。資本金一億円以上五億円以下の法定税率が極大になっており、それ以上の資本金の大企業は極端に実行負担率が低下している。そもそもこの本の最初に日本の巨大企業の実行税負担率が記載してある。それは以下の通り。
  ・三井住友フィナンシャルグループ:0.002%
  ・ソフトバンク             :0.006%
  ・みずほフィナンシャルグループ  :0.09%
  ・三菱UFJフィナンシャルグループ:0.31%

 安倍は日本の国・地方を合わせた法人税35%は高いというが、巨大企業は実際にそれほどの法人税を払っていないのである。
 数ヶ月前だったと思うが、トヨタ自動車の社長が法人税を5年間払っていなかったことを暴露した。法で定められた規定に従ったことであり、何ら違法性はないのだが、あのトヨタが税金を払っていなかったのである。

 安倍のたくらみは、消費税で貧乏人から徴収した税金で大企業の減税を実施することである。安倍は大企業の社長、会長の言いなりなのである。

 そんなことは新聞を読んだだけでも直ぐに分りそうなのに今回の衆議院選挙で国民は自民党に投票した。得票率が50%を割っているとはいえ、安倍を承認したのは国民である。日本国民は相当な金持ちなのであろう。消費税を上げてもらいたくて仕方がないのであろう。国民が納めた消費税が大企業減税に使われて、大企業の内部留保と大企業社員の高給維持に使われることを承認したのである。

 堤未果著「沈みゆく大国アメリカ」集英社新書を読んだ。病気になって家庭が破産するのがアメリカである。そんな出鱈目な国を模範として、アメリカの制度を導入しようとしているのが安倍である。日本国民のためではなく、アメリカの政府とアメリカの巨大企業のために日本国民を売り飛ばす。

 要するに安倍がやろうとしているのは、日本の巨大企業とアメリカ政府及びアメリカの巨大企業繁栄のための政策なのである。TPPで農業問題が主に取り上げられているが、さらに重要なのは保健・年金制度になるだろう。
 国民がぼやーっとしている間に安倍は日本をアメリカに売り渡そうとしている。国民が馬鹿なら、それで選ばれた首相も馬鹿。仕方がないか。

(2014年12月31日 記)

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