良い歳をしてエギングにハマる!

 去年の秋からエギングに熱中している。

 エギングは魚の形を模したエギを投げて、イカの王様と言われるアオリイカを釣るものである。動作としては、エギを投げて、海の底に着底させた後に数回シャクって、再びエギを着底させる事を繰り返すのみである。シャクル動作はロッド(竿)先端を手首と腕を使って上に振り上げることで着底しているエギを海底から浮上させるものである。アオリイカはシャクられて浮上したエギが再び沈む時にエギを魚と間違えて捕まえようとして触腕又は足でエギに触れる。エギの尻尾にはカンナという二段の逆針があって、これにアオリイカの足が掛かるとほぼ逃げることはできない。

 エギングに興味を持ったきっかけは4、5年前に婿から貰ったアオリイカの一夜干しの美味さ。とにかく美味い。その時は夕食に馬刺しを準備していたが、一夜干しの方が圧倒的に美味かった。こんなに美味いのならわしもエギングをやってみようと道具を揃えて、何度か釣りに行ってみたが、そう簡単に釣れるものではない。どんな釣りでもそうだが、最初の一匹を釣ることが大事である。そうすればコツが解るのである。

 アオリイの寿命は1年である。春から夏に掛けて浅瀬の海藻に産み付けられた卵は1〜2ヶ月で孵化し、秋にはコロッケサイズと言われる100〜300g程度の大きさに成長する。この秋のアオリイカは活発に餌を食べるのでエギングの入門時期として適当である。この大きさであれば、タモやギャフが無くてもロッドで岸にぶり上げて回収することが出来る。冬になり水温が低下するとアオリイカは深場に移動し、翌年春に水温が16℃を超える頃になると浅場に移動してホンダワラやアマモに卵を産み付けて死んでいく。春のアオリイカは大きいものだと2〜3kgにもなるので岸に取り込むにはタモやギャフが必要になる。秋のアオリイカはまだ成長期の子供なので食欲旺盛で釣りやすいし、数も多いが、春の産卵前のアオリイカはそもそも秋に比べて数が少ないし、知恵も付いているので釣るのは難しいと言われている。

 年に何回か、思い出したようにふらふらとエギングに行っては釣れんな〜という状態が数年続いたが、遂に昨年秋に人生初のアオリイカをゲット。直接手元で感じるアオリイカの当たりと言い、力強い引きと言い面白い。そして、自分で捌いて作った一夜干しが美味い。

昨年9月に初めて釣ったアオリイカとエギ。

 一杯釣れれば何となく要領が分かったので釣り場に通うことになる。片道60km。下道で約2時間掛かる。
 地元で釣れれば一番良いが、どこで釣れるのか分からないから確実に釣れる場所に遠くても通うことになる。

 アオリイカが一番連れる時間帯はマズメ時である。日の出前後と日の入り前後である。実際に釣っていても確かにこの時間帯が一番連れる。また、この時間帯を狙って釣り人が集中するから場所取りの為にも早めに出発することになる。例えば、午前4時から釣ろうとすると家を午前2時に出ることになるから相当につらい。何が辛いと言ってこの時間に起きるからと言って早めに寝られないし、ほとんど寝ずに家を出ることもあるからである。

防波堤の上で外海に向かってエギングする釣り人。

 結局、昨年の秋は9月中旬から12月上旬まで15回釣行して14杯釣った。1日で4杯釣れたこともあるが、全く釣れないことも多い。
 釣る時はほとんど立ちっぱなしなので変形性膝関節症の身にとっては非常に辛い。また、頻尿気味の身にとっても辛い。釣り道具を置いてトイレまで歩いていく。
 また、11月から12月の海は非常に寒い。特に夜は非常な寒さになる。しかし、悪いことばかりではない。秋から冬の夜の海は空気も澄んで星空が綺麗である。ギンギラギンに北斗七星が目の前に見える。
 新月の夜は真っ暗闇の中でエギをキャストして、シャクル。どこにどれ位の距離エギが飛んでいるかは勘だけである。
 こういう夜中や日の出前の釣りに結構若いカップルが多いのにも驚いた。若い子たちは気さくで話しやすく礼儀正しい。

 昨年の秋は一応の達成感を味わえた時ではあった。しかし、いつまで往復120kmの道を走るのか?新たな近場の磯の開拓が必要であった。なぜ磯でなければならないかのか?
 防波堤はイカの墨の痕跡で釣果が分かるので釣れる防波堤はいつも釣り人で満員なのである。一人静かにゆっくり釣りたい。
 もう一つの課題は春の親イカを釣ることである。秋の新子(子イカ)は釣りの入門コースであるが、春の大人のイカは簡単には釣れないらしい。

 春イカを狙って今年の4月から再び片道60km走っていつもの釣り場に通い始めた。そして、通い始めて2回目の4月28日の明け方、何のことは無い、着いて投げ始めた2投目で1300gのアオリイカをゲットしたのである。これは運が良かっただけだと思う。何故ならその後6月まで全く釣れなかったのである。
 この間、地元の磯、島根、山口と機会があれば道具を車に積んで釣って回った。しかし、釣れない。
 最後の手段で釣り公園に行ってみた。釣り公園に行ってみるともう通いなれた常連客で一杯である。初めての客が入る余地は殆どないがずうずうしく割り込んで釣っていると隣のエギンガーとしての典型的なファッションをしたお姉さん?にヒット。お姉さんは慌てることなく冷静にアオリイカを引き寄せ、たも網を出してアオリイカの取り込みに成功。隣のお姉さんが釣れたという事は潮の流が逆転したこともあってわしにも来るぞと思っていたら来た!ところが、釣りデッキから海面まで約6m。釣れたアオリイカは大型なので当然竿でぶり上げることはできない。どうしようかと考えていたら気づいたおじさんが自分のたも網を持ってきて掬ってくれたのでした。1140g。有難うございました。

1140gのアオリイカ。エギの長さ約10cmです。

 翌日、地元の磯でも遂にアオリイカではないけど紋甲イカをゲット。
 釣り場の詳しい情報は釣り人の集中を抑えるために秘匿される中、釣れるか釣れないか分からない中で竿を振り続けるのは精神的に苦しいものがある中で新しい釣り場で紋甲イカが釣れたのは勇気づけられる。
 この磯良いかもと思い始めて紋甲が釣れた9日後の第1投に遂にアオリイカが来ました。
 ここにアオリイカがいることが確認できた以上、もう60km運転して下関まで行く必要もありません。
 そして遂に来ました。1700gのアオリイカ。2kgオーバーとはいきませんがかなりの大型です。

エギが小さく見える大型のアオリイカです。

 もう7月になったので春のエギングは終わりです。
 彼らが産んだ卵が孵化して子供が釣れ始めるのは9月前後。それまでエギングはお休みです。
 この秋もこの地磯でアオリイカの新子が釣れるのか私は分かりません。多分、釣れると思うのですが。
 アオリイカが釣れる防波堤は釣り人が多く押し寄せます。
 この磯はたまにしか釣り人が来ません。有名な場所なのにあまり釣り人が来ないのがこの場所の良い点です。
 地磯で膝が痛い、足元がふらふらする、トイレが近いと言いながら続けられて後2〜3年かと考えています。

 この磯から青空のもと竿を振るのも気持ちが良い。
 晴れずに靄が掛かって海面が鏡のようになり、いきなりゴジラが出てきそうな感じのときもある。そういう雰囲気は好きである。
 風が無く、雨がしとしと振る中、カッパを着て黙々と竿を振るもの好きである。
 エギングに嵌っているので山に登る暇もない。
 この春の釣果。アオリイカ7杯 総量6730g。紋甲イカ3杯 総量2330g。
 イカさん達、ありがとうございました。美味しくいただきます。

(2025年7月6日 記)

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