反社会的組織である統一教会と共生する自民党

 参議院選挙活動の終盤であった7月8日、奈良市・大和西大寺駅近くで応援演説中の安倍元首相が山上徹也容疑者の手製の銃で撃たれて亡くなった。
 山上容疑者の母親は、統一教会、現在の世界平和統一家庭連合の信者で、夫の保険金や父母の遺産など1億円以上を世界平和統一家庭連合に献金し、家庭は破綻。山上容疑者の兄は苦しい生活の中で自殺。山上容疑者自身も海上自衛隊勤務時代に生活が苦しい兄と妹に保険金を残せたらと自殺未遂を図っている。
 山上容疑者は犯行の動機について、「元総理の政治信条への恨みではない」と供述しているが、統一教会を日本に導入することに尽力した岸信介元首相その孫であって未だに統一教会にビデオメッセージ等を送っている安倍晋三元首相に対して犯行を思いついたようである。(ここでは、世界平和統一家庭連合及びその関係団体は全て統一教会と表示する。なぜなら、これら関係団体も含めて創設者は統一教会の教祖である文鮮明であり、多くの関係団体は統一教会がその本質を隠すため、あるいは目的を達するために創設したものであり、統一教会の被害者弁護団や研究者が指摘するように本質的に統一教会と関係団体は同一組織であるからである)

 統一教会とは1975年頃に大学で接触する機会があった。当時がどういう時代かと言うとまだ学生運動の過激派同士が殺し合いをやっていた時期である。終わりかけであったが、私たちの大学に巣くう革マル派を襲いに時々中革派が来ていた。夏の集中講義の最中に救急車が大学構内に入って来たことがあったが、それは外部から侵入した中核派と革マル派の内ゲバで怪我人が出たからであった。理由は覚えていないが大学構内に機動隊が突入したこともあった。多分内ゲバ関連だったと思う。大学祭で各クラブや教室が神輿と言うか櫓を作って延々と市中を担いで回るのが恒例であったが、その道路使用許可を警察に届け出るのは革マル派であったから当時の学生組織を支配していたのは革マル派だったのであろう。

 1975年頃はまだスナックにジュークボックスという物が置いてある店もあった。今の人はジュークボックスと聞いても何のことか分からないと思うが。カラオケはまだテープの時代で画像は無く歌詞は本で見る時代であった。こんな時代であったから酒を飲んでは友達と世の中について色々と議論をすることが多かった。とにかく良く議論をした。何を議論したのか今ではよく覚えていないが、この世界は一体何なのか?人はどう生きるべきなのか?という事だったと思う。
 そういう意識をもって大学構内を見渡すと原理研究会と言うでかい看板が目に入ったのである。世の中の統一原理を研究しているのなら一度話を聞いてみるか、ということで1日コースだったと思うが講義を聞きに行った。受講者は最初数名いたと思うが講義と講義の間の休憩時間になる度に一人減り二人減りと受講者が減少していき、最後は私一人になったが最後まで話を聞いた。約50年近く前に聞いた話なので殆ど覚えていないが、キリスト死亡後の2000年間の歴史は、その前の2000年間の歴史の繰り返しであって、教祖の文鮮明はキリストの再臨である、ということだった。講義の大半は繰り返す歴史の対応関係についてであったと思う。その講義の中で出てきた重要な用語が“蕩減(とうげん)”である。端的に言えば、“金”を出せという事である。彼らは何かあるとすぐに蕩減条件を払ったか要するに金を出したか、というので、こんな馬鹿組織と付き合ってられないと思い、私の心の中では彼らは敵になった。

 私が大学内で良く立ち話をした原理研究の学生は、穏やかで中々の好青年であったが、大学を卒業したらアフリカに統一教会の布教に行くと言っていた。当時のアフリカの衛生状況は現在よりも極端に悪かったと思うが、たとえアフリカで命を落とすようなことがあっても悔いは無いというほど統一教会を信じ切っていた。まあ、当時の原理研究は道端に黒板を建てて、聴衆がいようがいまいが話続けていたので直ぐに原理研究と分かった。原理研究に接近していた良家のお嬢さん風の女学生に「こんな危ない原理研究に接していると親が泣くよ」と忠告したこともあったが、その後どうなったかは知らない。

 統一教会のことは、その後忘れていたが、1980年代になって霊感商法で世間を騒がせた。また、1992年の合同国際結婚式には桜田淳子と新体操の山崎浩子も参加して大騒ぎになった。霊感商法と合同結婚式のこの二つを見ただけでも統一教会が正常な集団でないことは明らかであるが、この異常な統一教会を日本に招き入れた岸信介の責任は極めて重い。大学時代の原理研究の催し物では、しばしば中国の大躍進時代のビデオ映像を映していた。農民たちが原っぱに作った手作りの溶鉱炉で鉄を作ろうとするが失敗して壊れるような映像である。要するに反共宣伝である。これをみても分かるように統一教会=原理研究=国際勝共連合であり、岸信介は統一教会を反共民間組織として利用しようとしたのであろう。

 山上容疑者の犯行によってテレビでは統一教会の悪行の数々が連日報道されるようになった。霊感商法の後、統一教会は資金集めを信者の献金に重点を移した。そして明らかになったのは霊感商法などの悪行は日本のみで行われており、また、統一教会にとって日本は金蔓の有難い地位を頂いているという事である。要するに統一教会にとって日本は資金集めの為の国に過ぎないのである。信者に対して日本は過去に朝鮮を支配したのだから日本の信者は特に多くの償いをしなければならない、そうしないと地獄に落ちますよと、日本人信者を脅して、破産するまで献金させ、破産した後も献金させるのが統一教会なのである。1980年代の霊感商法の後も現在まで形を変えて多くの日本人が統一教会の犠牲になっているのである。そうした中で統一教会と自民党を主とする日本の国会議員たちは蜜月関係を続けてきたのである。安倍もその弟の岸防衛大臣もそうなのである岸信介の後、現在までこの一族だけでなく多くの自民党議員が統一教会と蜜月関係を続けてきたのである。これを売国的行為と言わずして何なのか。人を殺すのは良くないが真の国士は山上容疑者の方ではないのか

 霊感商法でその悪行を日本中に知られてしまった統一教会は名称変更を考えた。統一教会は1997年に当時の文部省の文化庁に相談した。この時、名称の変更を断ったのが当時、文化庁で宗務課長を務めていた元文科次官の前川喜平氏である。悪行を行う統一教会の実態が何ら変わっていないのに名称変更を許すことはできないと極めて妥当な判断を行っていたにもかかわらず、2015年、下村博文文部科学大臣下であっさりと認められた。これについては重大な問題なので国会でも取り上げられるだろう。

 日本には統一教会に食い物にされ、洗脳され、破綻して、それでも献金しようとする山上容疑者の母親のような人間が多分、何千人も、家族を含めれば何万人も存在するのである。その代表が山上容疑者である。本来なら国会議員がこのような悪質宗教法人の対策を検討しなければならないのに警察を管理する立場にある二之湯国家公安委員長までもが統一教会と相当な関係であったことが明らかとなっている。

 そもそも山上容疑者が安倍元首相を狙うきっかけになったと言われているUPF(天宙平和連合)に安倍元首相がビデオメッセージを送ったことであるが、これに対して霊感商法対策弁護士連絡会は抗議を行っていたのである。世間は何故安倍元首相を?というが、統一教会の被害者家族として山上容疑者が未だに後継教祖の韓鶴子に対して安倍元首相が「敬意を表します」などと賛辞を送ることが許せなかったことは理解できる。

 これだけの事態を招いたにも拘らず今日、自民党の福田達夫総務会長は『何が問題なのか良く分からない』と会見で発言した。どういう神経をしているのか唖然とする。統一教会と言う組織による日本人、要するに国民の被害者が相当発生しており、統一教会は規制を受けないよう選挙応援を通じて国会議員に取り入ろうとしているという構図が理解できないのか。底辺で苦しむ国民を配慮しようとする気持ちが微塵も無いのか。それは第二、第三の山上容疑者を生む種となるのである。
 底辺の日本人は昔からいざとなったら黙って死することもあったかもしれないが、死する前に一揆や打ち壊しなど命を懸けて抵抗することもあった。山上容疑者もその供述内容から単なる馬鹿でないことは良く分かる。確信犯である。山上容疑者が犯行を行わなければ統一教会はこれから永遠に日本を食い物にしたであろう。そういう意味では山上容疑者は統一教会による被害者たちの英雄である。逆に統一教会と共生する自民党議員は国賊、売国奴である。岸信介や安倍晋三といった自民党議員たちが統一教会と共生していなければ山上容疑者もこのような犯行を犯す必要もなかったかもしれないのである。

 最後にそもそも金を貪る宗教は邪教である。文鮮明はキリストの再臨だというが、何人嫁を取り換えたのか?合同結婚式の信者には離婚は駄目と言うが自分はやりたい放題。そもそもキリストは結婚してないのに再臨の文鮮明は何故結婚して子供をボコボコ生ませるのか。そして当人の死後には分裂騒動。これだけを見ても統一教会が嘘っぱちの宗教だという事が分かる。
 統一協会は直ぐに「地獄に落ちる」と言って信者を脅すらしいが、本当に地獄に落ちるのは統一教会の「地獄に落ちる」と言ってきた指導者達である。私が地獄に落とすのではない。仏教で言うのは因果応報である。悪行を行えば、自ずとその結果を招くのである。

(2022年7月29日 記)