地獄の東京オリンピックになる!

  国民は東京オリンピックの開催に疑問を示している中、政府も東京都も東京オリンピックを強行することになった。国民が開催に不支持の意思を示すのも当然で新型コロナの英国株に変わり、さらに感染力が強いと言われているインド株が拡散し始めている。医療の専門家はオリンピック開催中の8月に新型コロナ第5波のピークが来るとも予想している。この状況を見ると国民の心配の方が正しそうである。

 一方、政府は来日するオリンピック選手や関係者はバブル方式で国民と接触しないように隔離するので全く心配ないと主張する。また、ワクチン接種を進めることで感染者が増えてもコロナ重症者数の増加は抑制可能で医療の逼迫は生じないと考えているらしい。ところが物事を徹底する習慣のない政府がバブル方式で選手等を隔離するといっても全く信用できない。

 早くもウガンダ選手団9人が来日し、入国時に一人の感染が判明し、貸し切りバスで移動した後にさらに一名の感染が判明した。これによりウガンダ選手団受け入れ先の市職員3人とバス運転手等4人が濃厚接触者と認定された。オーストラリアの全豪オープンテニスでは、チャーター機による選手団の入国時に一名の感染者が出ただけで飛行機の乗客全員を隔離しているのである。世界は決めたことは徹底して守るのである。一方、日本はバブル方式で安全と言いながら感染が判明しても濃厚接触が予想される選手団をバスで移動させ、国民に濃厚接触者を生じさせている。さらに政府の言い分は、感染者が出た場合の濃厚接触者の判定は受け入れ先自治体の保健所がするべきであるという責任の転嫁を図っているのである。たった9人の選手団の入国でこの始末である。既に政府や五輪開催関係者の出鱈目さが露呈した。元々政府に安全の管理能力は無いのである。

 沖縄を除いて6月20日でコロナ第4波に対する緊急事態宣言が解除された。東京ではその前週からコロナ感染者数は底を打って増加傾向に転じているにも拘らずである。そして、解除後も確実に感染者数もインド株も増加している。なぜ、解除したのか。政府の言い分は、これ以上緊急事態宣言を継続しても効果はないし、国民も疲れている。感染者数を確実に減少させずに緊急事態宣言を解除すると直ぐに次の感染拡大のピークを迎えることは既に経験済みにもかかわらず政府は全く学習していないのである。日本のコロナ対策は国民に自粛を御願いするばかりで何ら科学的な手を打ってこなかった。無能なのである。

 英国株、インド株共に感染力を強めている。テレビでは政府広報で3密ではなく、一つの密も駄目と放映している。そう、政府は変異株の感染力が強くなって、注意および対策の強化が必要であることを分かっているのである。しかし、濃厚接触者の定義は未だに変更していない。これが怠慢であり、無能だというのである。

 北九州市のワクチン集団接種会場で接種していた医師がコロナを発症した。しかし、市は濃厚接触者は一人もいないとした。そんな馬鹿な、である。

 東京オリンピックは地獄状態の中での開催となるだろう。悲惨な事になると想像する。考えられる状況を以下に列挙する。

 @オリンピック期間中に緊急事態宣言が発令され、医療崩壊に近い状態になる。
  現在の状況ではオリンピック開催の有無に拘らず、専門家は7月後半から8月にかけてコロナ感染者が急増するのはほぼ確実と予想している。さらにこれに外国から感染者がオリンピック関係者として続々と入ってくるのであるからオリンピック期間中に緊急事態宣言を発令せずにはいられない状況になるのは自明である。また、高齢者のワクチン接種が進行しているから医療崩壊は発生しないと政府は予測しているのかもしれないが、日本よりも圧倒的にワクチン接種が進んでいるイギリスでも最近感染者が急増傾向にあり、イスラエルでも感染者が増加傾向にある。日本の接種率は65歳以上の高齢者で2回接種完了は21%、全年代ではたったの6%である。国全体で見た時にワクチンの効果などまだ期待できるレベルではないのである。

 Aオリンピック選手及び関係者のコロナ感染が相次ぎ、日本国民と入院ベットの奪い合いとなる。
  オリンピック競技者用の病院は幾つか確保しているようだが、これは競技中の負傷を想定したものでコロナ用ではない。また、政府は入国前と入国時及び入国後の検査と隔離、及びワクチン接種でオリンピック関係者が感染する可能性は低いと考えているようであるが、ウガンダの例を見ても分かるように9人中2人と凄い割合で感染しているのである。また、アスリートはこのオリンピック前の重要な時期に少しでも体調が崩れることを嫌がってワクチン接種を行わない者も相当数存在するはずである。オリンピック選手村で多分一定割合でコロナ感染者が発生するであろう。選手は若者が大半であるが、徹底的に体脂肪を落としたアスリートは免疫が相当低下しており、コロナ重症者が発生する可能性は高い。これをどこで面倒を見るのか。

 Bコロナ感染したオリンピック関係外国人に対する充分な医療対応ができない為、日本は国際的な非難を浴びることになる。“おもてなし”は嘘だったのか、と。
  現在の日本国民の心情は“オリンピックを特別視しない”に尽きる。政府はコロナで国民に犠牲を強いているのであるからオリンピック開催方法も同様の制限下で行え、というものだと思う。従って、国民感情としてコロナ患者が出た場合、オリンピック関係の外国人を特別扱いすることは許さないだろう。下手をすれば、オリンピック関係の外国人に死亡者が出るかもしれない。その時に言われるのである。“おもてなし”は嘘だったのかと。そう、嘘なのである。日本国民にオリンピック関係者をもてなす気持ちは微塵もない。ゆとりもないのである。そんな気持ちでオリンピックを開催したら駄目でしょう。日本の恥を世界に晒すだけです。

 Cオリンピック期間中に災害が発生し、オリンピックどころではなくなる。
  梅雨明け末期の豪雨。巨大化した台風。これらによる災害は近年毎年発生し、自衛隊が災害出動している。ちょっと前まではこれらを異常気象と呼んでいたが、既にこれらは常態化し、異常気象ではなくなった。従って、今年もこれらの災害は必ず発生し、それがオリンピック期間と重なる可能性は高い。また、地震の発生も予想される。東京から東南海はいつ巨大地震が発生してもおかしくないのである。  

 緊急事態宣言が発令され、医療が逼迫する中で国民と外国人のベッドの奪い合いが発生し、そこに豪雨による被災民の避難場所でのさらなるコロナの蔓延。被災地救助のボランティアはコロナを心配して、近隣だけに搾る為、ボランティアも集まらない。そこに東南海地震が発生し、日本は大混乱。オリンピックどころの騒ぎではない。これを地獄と言わずして何というのか。

(2021年6月21日 記)

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