瓦の差し替え(怖い思い)

 津和野の借家は相当傷んでいる。昨年7月に契約する前には2箇所雨漏りがあった。2階の高い部分も瓦差し替えの修理が必要だったので家主さんが業者に頼んで修理してくれた。その修理のやり方を見ていたので、石州瓦は比較的簡単に差し替えができるものだと感じた。

 この冬の大雪で瓦が割れているのを見つけた。屋根から落ちた雪の中に割れた瓦の破片があったので分かった。写真は2階の窓から見た状態。

 ジャガイモ植えの農作業をした後に瓦を差し替えることにした。梯子を掛けて屋根に上るのであるが、軒が華奢なので私の80kgの体重を支えきれるか、非常に心配であった。梯子から軒に移ったら、直ちに上に登らなければならない。また、瓦の上に乗ったら瓦が割れてしまうのではないかと非常に心配であった。
 さて、実際に梯子から瓦の上に乗ってみると瓦の表面はつるつるであった。膝をついて四つん這いになっても膝の部分のズボンが良く滑るので屋根からずり落ちそうな感じ。最悪なことに履いていた長靴も瓦の上では滑り気味。要するに梯子から屋根に移った途端に私はつるつるの瓦の上で身動きが取れなくなったのであった。

 軒の上でもたもたすれば、軒と一緒に落ちる可能性もあるので、手で瓦を掴みながら修理個所まで何とか這い上がる。しかし、このままでは自由に身動きできない。まず長靴を脱がねば。2階の出窓まで横移動して、そこで長靴を脱いで裸足になる。再び修理個所に移動して最初に割れた瓦を取り外そうとするが、瓦が釘で固定してあり、破片の一部が取り外せない。破片が外せなければ、新しい瓦を差し込めないので一大事。妻に金槌を持ってくるように言うが、金槌と木槌を手に持って、どっち?などと聞いてくる。さらにくぎ抜きを探せ、ペンチを探せ、と指示するが、くぎ抜きがどのような物かも分からないよう。

 何とか釘を引き抜いて、新しい瓦を差し込む時が来たのであるが、新しい瓦は軒の先端部分に置いているので、そこまで取りに行かねばならない。軒の方には下りたくないのであるが、作業を終わらせるには行かねばならない。へっぴり腰の四つん這い状態でじわりじわりと梯子を立てかけている方へ下って行く。何とか新しい瓦を取って差し込み完了。

 さて、屋根の上で四つん這い状態でも怖がっている状態でどうやって梯子で降りるか。最低でも瓦の上で立ち上がらなければ下りることは出来ない。ここで考えた。柔道でも剣道でも相手の攻撃から身を護るために腰が引けた状態というのは最も攻撃力、要するに行動の自由度が落ちた状態にある、ということを。ビビッて腰が引けている限り、私は屋根から降りられない。

 私は決心して、屋根の上ですっくと立ち上がってみた。瓦が割れることもなく、裸足なので滑ることもない。覚悟を決めなければ出来ないことがあるのである。私は無事、裸足で地上に降り立つことができた。
 (大げさな話のようですが私は本当にビビったのです。情けない。)

 ところで栽培中のハウスワサビの状態は。あまり良くないですが、アマガエルが葉の上にとまっていました。まだ朝晩は3℃程度まで冷えることもありますが、冬眠から覚めて出てきたのでしょう。

(2014年4月27日 記)

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