プーチン、地獄に落ちろ!ウクライナ頑張れ!

 『プーチン、地獄に落ちろ!』 これは私の言葉ではない。ウクライナのゼレンスキー大統領の言葉である。

 北京冬季オリンピック後の2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻を始めた。ウクライナ東部のドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立を承認し、ロシアとの協定による特別軍事作戦だという。また、ウクライナが東部でロシア系住民の大量虐殺、ジェノサイドを行っていることに対する平和維持活動であるという。

 この動きに対してアメリカは侵攻前から演習を行っていたロシア軍とベラルーシ軍の動向を世界に発表してきたが、バイデン大統領は早くからウクライナはNATO加盟国ではないので軍隊は送らないし、ウクライナの為に戦争する気は無いと何度も宣言した。

 プーチンは侵攻数日でウクライナを陥落させることが出来ると考えていたようであるが、意に反してウクライナは強く反撃している。ウクライナに派遣されていたアメリカの軍事顧問団はゼレンスキー大統領に対して国外退避を進言したようであるが、ゼレンスキー大統領はそれを拒否し、家族と共にウクライナに残って毎日国際社会と国民に情報発信をしている。

 ロシア軍は、軍事施設だけでなく、学校、市庁舎、テレビ塔、石油貯蔵施設、さらには原発にまで砲撃を行って、無差別の殺戮戦を行っている。これは完全な戦争犯罪であり、太平洋戦争で裁かれた日本の戦争指導者の例に習えばプーチンは絞首刑に処すべき犯罪者という事になる。さらにプーチンは核の使用をちらつかせて、西側諸国を恫喝し、アメリカに至っては定期的なICBMの発射実験もロシアを刺激しないように中止している。

 これに対し、国連では3月2日に国連総会の緊急特別会合でロシアの即時無条件撤退やウクライナの領土保全を求めるロシア非難決議案を141ヵ国の賛成で採択した。反対はロシアなど5ヵ国、棄権は中国などの35ヵ国であった。しかし、国連決議には何の拘束力も無い。

 また、ロシアの軍事侵攻に対し欧米諸国や日本は経済制裁で対抗しているが、ロシアに天然ガスを強く依存しているドイツを始めとするEUは、逆に自国の受けるダメージを考慮して本気で経済制裁を強める気は無いようである。

 一方、ロシア国内では若者を中心に反戦デモなどが起こりつつあるが、プーチンは取り締まりを強化し、老人や小学生までも逮捕して、逮捕者は6400人を超えたとされている。また、メディアの統制も強化されており、世界中のロシア在住の特派員の活動も実質制限されている。この状況でロシア国有世論調査機関の調査でロシア国民の68%が『特別軍事作戦』、要するに侵略戦争を支持すると答えているという。

 これからロシア軍はさらに民間人を狙った大規模な軍事作戦を実行することは間違いない。これに対して国際社会は全く無力である。世界に正義は存在せず、ただ狂った強者の言いなりになるしかないのが現実なのである。

 世界はプーチンを悪者とし、私もそう思うが、よく考えるとアメリカも今回と同様のことを何度も行っている。どちらかと言うとアメリカの方が質が悪い。例えば、イラクのフセインが大量破壊兵器を隠し持っているとしてブッシュが戦争を仕掛けたが、これは完全なでっち上げであった。さらに国連も利用して、ナイラ証言をでっち上げ、欧米のマスメディアも何ら真実を確認することなく報道して、ブッシュの戦争を煽った。太平洋戦争中の日本の新聞と同じである。また、アメリカはイラク戦争時の報道を制限・管理して情報操作を行った。現在のロシアよりもやり方が上手な為により悪質である。2011年の米軍撤退までにイラク民間人の犠牲者が11万6千人と米大教授が報告している。この戦争犯罪に対して世界はアメリカを罰したか。同盟国の同様の罪を罰したか。西欧の大半の国がグルになって犯罪を犯したのだから単なる自己反省で終わりである。まだ自己反省するなら良いが日本などは反省すらしていない。

 要するにアメリカもその同盟国もロシア以上のろくでもない悪者だという事である。

 さて、今回のロシア侵攻で改めて分かったことは何か。それは国際社会が日本国憲法前文に書かれているような『平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会』ではないということである。信じる者は騙されるのが国際社会である。ウクライナの失敗は、ソ連崩壊時に核を手放したことにあるのかもしれない。

 安倍はこの機に乗じて核シェアリングの議論をすべきと言い出した。こいつはいつも馬鹿だと思う。核も持つべきかもしれないし、敵基地攻撃能力も持つべきかもしれないし、徴兵制も敷くべきかもしれない。現代の戦争はプロフェッショナル化しているので徴兵制は必要ないし、無駄と言う議論をする者もいるが、本当にそうなのか。日本を守るのに軍隊が必要なのは間違いないが、どう守るのかはじっくり議論して決めるべきである。どさくさにまぎれてやることではない。

 最期にモーニングショーのコメンテーターの玉川が『命が一番大切なのでゼレンスキー大統領も戦争をやめる決断を』と言う意味の発言をしていた。これは私は完全に間違いであると思う。命よりも大切なものはある。ここで安易にウクライナが降伏すれば、ロシアはウクライナを今後永久に隷属化するのである。現在の子、孫の代まで奴隷化されるのである。民族としての恥を歴史に残すのである。一方、ここで徹底的に戦い抜けば、仮に戦争に負けてもウクライナ人の魂に戦い抜いたという誇りが永久に残り、ロシアに対する恨みを永久に保持できるのである。

 韓国が今でも日本にいちゃもんを付けてくるのは、そういうことが関係しているのではないか。豊臣秀吉に攻められたのも悔しいし、日韓併合されたのも許せないという気持ち。そういうことに日本がならないように防備を準備するだけでなく、日本国民全体の気持ちが固まるのには時間が掛かるのだろうと思う。

(2022年3月6日 記)

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