高市早苗総務相の時代錯誤の恫喝

 高市早苗総務相が、放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと政府・総務省が判断したら放送法4条違反で電波停止を命じると繰り返し発言している。

 これを聞いて私は高市早苗は相当な馬鹿な人間だと思った。まあ、政治家とはその程度のレベルではあると思うが。

 どこが馬鹿か

 そもそも公平性の当事者である政府が公平性を公平に判断できるわけが無いではないか。この最も基本的なことを理解していないこと自体が大馬鹿である。要するに安倍首相はこれまで何度も出演した番組に公平性を欠くといちゃもんをつけているようだが、その当事者が公平性を判断して、処分するというのは、三権分立以前の封建制社会における全ての権力を握っている王様が勝手に決まりを作って、勝手に判断して、勝手に裁くことと同じではないか。

 日本はこの辺の概念が社会に全く普及していない。例えば、東日本大震災まで原子力の推進も規制も同じ経済産業省が行っていた。原子力を推進することに力をおいている経済産業省に真剣な規制ができる訳が無いではないか。この普通に考えて分かりそうな事を政治家も国民も分かろうとしない。要するに「規制機関の独立」は既に世界標準であるし、1950年にGHQの示唆で設立された電波管理委員会はそういった組織であった。

 この放送法と「規制機関の独立」については、2月13日付朝日新聞夕刊の『あのとき それから』欄に詳しいので割愛する。

 『あのとき それから』欄で田原総一郎は、「放送法への誤解が大きい」と高市早苗や自民党を批判している。要するに放送法4条の「公安、善良な風俗を害しない」「政治的に公平」などは第1条の「放送の自立、表現の自由」、第3条の「何人からも干渉・規律されない」から考えて、全て倫理規定であり、これに権力が介入するのは許されないと述べている。正にその通りだと思う。さらに田原総一郎は、一昨年の衆院選前、自民党が在京テレビ局に選挙時の報道の公平中立を求める文書を出したことについて、テレビ局が抗議どころか、文書のことを報道もしなかった点を批判している。

 放送とは何かの原理原則も理解せずに黙って自民党の言うことを聞く日本のジャーナリズムに未来は無い。

(2016年2月14日 記)

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