高市のいたらぬ台湾有事発言の影響はずっと続く!

 今から30数年前になろうか。務めていた会社が中国に工場を作り、中国人との交渉上の注意事項などの話の中で今でも記憶に残っているのは『中国人は面子を最も大切にするので相手の面子を潰すような言動は絶対に行ってはならない』というものである。冗談だったかもしれないが、面子をつぶせば殺されることもあり得ると言う言葉は今でも印象に残っている。

 この中国の面子を完全に潰す行為を最初に行ったのが当時民主党の野田政権の尖閣国有化である。

 当時、東京都の石原慎太郎知事が尖閣諸島の購入を計画しており、野田政権は中国の反発を抑えるために国有化を閣議決定した。しかし、この発表をAPECで中国の胡錦濤国家主席と会談した2日後に行ったことに中国は激怒した。何故なら胡錦涛が国有化を思いとどまるよう野田首相に要請した直後に当てつけのように国有化を発表したからである。国有化後、中国を訪れた河野洋平前衆議院議長らに対し、唐家璇・中日友好協会会長などは「中国国民はメンツを潰されたと感じた」と怒りをあらわにしている。この後に何が起こったか。中国国内では反日運動が起き、中国海警局の船舶による尖閣周辺の領海侵犯が絶え間なく続くようになり、その対応に海上保安庁は未だに追われている。

 今回高市首相は同じ間違いを犯した

 10月31日、APEC首脳会談に出席するために訪問した韓国で高市首相は中国の習近平国家主席と首脳会談を行った。その当日と翌日の2度にわたって高市首相は同じくAPECに台湾を代表して会議に参加していた林信義氏と交流し、それをSNSに投稿した。これまでAPECの会合で日本の首相と台湾の代表が会合することは普通の事であったがSNSでそれを発表したのは高市首相が初めてであった。中国の核心的利益の一つは台湾問題なので高市首相はこの時点で微妙な問題に触れてしまった。元々日本との首脳会談に乗り気でなかった習近平であるからこの時点で完全に面子を潰されたと思ったはずである。

 さらに11月7日の衆議院予算委員会において立憲民主党の岡田元幹事長から執拗に追及された高市首相は、「戦艦を使って武力の行使を伴うのであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースであると私は考えます」と発言した。そもそも中国は台湾問題を国内問題と考えているし、日本も日中共同声明等でその考えを尊重するとしているので高市首相の発言は中国に対する内政干渉、さらに悪くとれば中国に対する侵略という事になる。その為、歴代首相は何が存立危機事態になるか明言を避けてきた。首相周辺は「首相が答弁で踏み込んでしまう癖があることを分かっていたのだから、事務方がもっと支えなければいけなかった」と後悔を口にしていると言うからこれは高市の完全な失点である。

 高市首相は言わなくてよいことを発言して国益を損ねた。これから何が起きるか。中国にとって核心的利益に触れる発言をしたのだから中国の怒りは相当なものである。高市が発言を撤回すれば中国は折れるだろうが、右翼に支持されている高市が発言を撤回することは100%あり得ない。そこで不利益を被るのは国民である。

 中国からの訪日観光客の抑制、日本産海産物の禁輸は既に始まった。これから日本人駐在員の拘束、さらにはレアアースの輸出停止にまで進むかもしれない。高市の不用意な発言で国民がこの不利益を被るのである。

 今回の件に関しコメンテーターの橋下徹は「いま日本は中国とやりあえるだけの自衛力ないですよ。こんな時にキャンキャン騒いだら、結局なんかのきっかけで、武力衝突になったというのが過去の例」と指摘し、「僕は言ってもいいけど、力を持つまではキャンキャン騒ぐな派です」と語っている。

 (橋下徹は嫌いだが)正に橋本の言う通りだと思う。高市は『世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す』と発言したが、未だかつて日本が外交で世界の真ん中で咲き誇ったことはない。アメリカの腰ぎんちゃくでしかなかったし、益々その度合いを強めているだけではないか。

 日本の軍備も含めた国力を増大させることは必要と考えるが、日本は衰退への道をまっしぐらに突き進んでいる。それは安倍政権下で確実に進行し、高市政権でとどめを刺すだろう。
 既に高市政権の経済対策を巡って不安が広がり、円安が加速し、国債利回りは急増している。失敗したアベノミクスをまたやるというのだから当たり前の話である。

 中国が太平洋西部から米軍を追い出し、東アジアを中国の思い通りにしようとしていることは明らかである。そうなったら領土問題も含めて中国が軍備をもってやりたい放題やることは目に見えている。
 これに対抗するには日本はどうすれば良いか、考えてみた。

①核ミサイル積載の戦略型原子力潜水艦の保有
 通常兵器で日本が中国を上回ることは絶対に無理であり、防衛だけを考えても圧倒的な軍艦と戦闘機を有する中国に通常兵器で対抗することは絶対に無理である。ではどうするか。エマニュエル・トッドも薦めるように核を持つしかないのである。但し、狭い日本で陸上配備するのは危険なので潜水艦から発射するしかなく、その為には必然的に原子力潜水艦という事になる。北朝鮮を見たらよい。核を持った北朝鮮にあの好戦的なアメリカも手を出すことが出来ない。
 また、防衛の面から見ても戦略型原潜の保有はコストパフォーマンスに優れる。1隻に1兆円掛かったとしても2~4隻持てば充分だろうから通常兵器に金を使うよりも安いものである。
 しかし、この案はアメリカが絶対に認めることはない。アメリカは日本人を心底信じていないし、そもそも日本はキリスト教国でもないし、黄色人種であるから。日本が核を持って独立することをアメリカは絶対に認めないだろう。

②通常兵器での軍備拡張と防備体制の強化
 通常兵器での軍備拡張も並大抵のレベルでは中国に対抗しうるレベルに追い付かない。軍艦、戦闘機も圧倒的に中国の方が優っている。そもそも中国に対抗するだけの経済力が日本に無いのだからどうしようもない。そして軍備拡張の財源はどうするのか。国債に頼れば益々日本の国力は衰退する。最後の財源は医療費の削減しかない。
 冷静に考えて一般財源に占める日本の医療費は高すぎる。右翼の方々が言うように愛国心があって、国の為に尽くそうという心が少しでもあるなら老人は病院に掛かるのは控えるべきである。
 そもそも医療に関して日本国民は大きな勘違いをしている。病院は人の死を看取る場所ではない。病気を治す場所である。死ぬのは家にすべきである。また、老人に延命治療をすべきではない。スウェーデンには『寝たきり老人はいない』と言われている。それは『自分で食事が採られなくなったらそれは死ぬ時』という死生観があるからである。日本も元々そうであったのが国民皆保険制度のせいで無駄に生を貪る哀れな国民になってしまった。
 国民皆保険制度に甘ったれて人間の尊厳を忘れ去った日本人は考えを改める良い機会である。療養型病院の病床を一度見たらよい。意識のない、見舞いも無いほったらかしの老人たちが年間1000万円近い医療費を使いながら何年間も病床に寝ている。私の母もそうであったから状況を良く知っている。

③徴兵制の実施
 中国と本気で戦おうとするなら、また、軍備拡張しようとするなら現在の定員未達の自衛隊で対応できるはずがない。また、現在の自衛隊員の多くの志望動機が災害支援の姿に対する憧れである。こんな隊員が本当に敵と戦えるのか。自衛隊は奉仕やボランティア機関ではない。
 国を守るとはどういうことか、最終的に日本は何を守るのか。意志を統一する協議をすべきである。国を守るのを特定の自衛隊員に限定するのは理不尽な話である。何故なら国の防衛は全国民が当然担うべき事項である。しかし、若者を優先してはいけない。老人から順次徴集すべきである。現代戦は肉弾戦もあろうが電子戦の比率も高くなる。会社で獲得した種々の技術・技能を有する老人が防衛に役に立たない訳がない。子や孫を守るために老人を最前線に立たせる。それだけの覚悟があるから高市を国民の約80%が支持しているのではないのか。もし、その覚悟無しに高市を応援しているのなら申し訳ないが彼らは天罰を被っても仕方がない。要するにそいつらは自分のうっぷん晴らしに高市を応援しているだけだろう。 

 高市とその支持者、マスコミの大半も中国に対して強硬姿勢である。正にキャンキャン騒いでいる。

 世は戦国時代に戻った。弱小日本はどの大名に付くか。どのようにふるまうか。存亡をかけた戦いが始まったがどうなることか。

 しかし、一言言っておく。石破首相が続投していたらこんな事にはなっていなかったと!

(2025年11月21日 記)

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