統一教会合同結婚式に岸信介元首相が送った祝辞

 山上容疑者の安倍元首相銃撃事件を受け、本日7月30日の報道特集というテレビ番組で統一教会と日本の大物政治家の関係を追求していた。この中で岸信介元首相が1982年の統一教会の合同結婚式に送った祝電やレーガン大統領に送った親書の内容について報道していたのでここに紹介する。

1982年の統一教会の合同結婚式に岸元首相が送った祝電
 『天を中心とした理想と信念のもとに指導し教育しておられる。私が文鮮明先生を心より尊敬する所以であります。』
 統一教会から先祖の霊が苦しんでいるとか、先祖の因縁を説かれ、高価な印鑑、壺、多宝塔等を購入した多くの者が、国民生活センターや各地の消費生活センターに苦情を寄せるようになったのが1978年頃と言われているので岸元首相が祝電を送った1982年といえば統一教会が霊感商法で暴れまわっていた時期に該当する。統一教会が日本で悪質な反社会的活動真っ最中の時期に岸元首相は統一教会の文鮮明を礼讃していたのである。これは正に犯罪的行為ではないのか。統一教会の日本における犯罪に元首相がお墨付きを与えていたのである。そして統一教会が政治家に接近していたのは正に世間に自分たちの正当性を宣伝するためであったのだから、岸元首相らの責任は極めて重大と言わざるを得ない。
 山上容疑者が指摘した岸元首相の責任は正に正しいのである。
 また、岸元首相の感覚を疑いたくなるのは、文鮮明が適当に組み合わせたカップルを結婚させる合同結婚式という異常な儀式、普通の常識と感覚を持った日本人ならこの合同結婚式に違和感を感じるのが普通ではないのか?その異常な合同結婚式に祝電を送るという感覚。どういう神経をしているのだろうと思うのである。

1984年に岸元首相が米国レーガン大統領に送った親書
 アメリカでも活動していた統一教会の文鮮明は脱税の罪で収監されていた。それを救いたいと考えたのであろう岸元首相はレーガン大統領に対して以下の親書を送っていたのである。

 『本日大統領にお願いをしたいと思います。文(鮮明)尊師は現在不当に収監されています。あなたのご協力のもと何としてでも一刻も早く、彼が不当な収監から解放されるようお願いいたします。文尊師は自由の思想を掲げ、共産主義の誤りを正すことに人生をかけている誠実な男だと私は理解しております。彼の存在は現在も将来も自由と民主主義の維持にとって貴重で不可欠です。』

 善良な日本人から霊感商法で巻き上げた莫大な資金を使ってアメリカで共和党に対する政界工作や事業に乗り出した統一教会の文鮮明が脱税の罪で収監されていたのを岸は早く解放しろと歎願しているのである。一体、文鮮明と岸信介はどれほど強い関係だったのか。普通の関係ではなかったことは明らかである。そして決して許すことが出来ないのは、霊感商法で日本人から金を巻き上げ続けている文鮮明を“誠実な男”だと絶賛しているのである。これを国賊と言わないで何というのか。

 1960〜70年代にアメリカの統一教会の政治部門幹部であったアレン・ウッド氏が証言している。1970年に日本武道館で行われた国際勝共連合のイベントで彼は司会を務めていたのであるが、右翼の大物である笹川良一が登壇して『私は文氏の犬』と発言し、これを聞いたアレン・ウッド氏は『我々は世界を支配できる』と思ったという。当時自民党政治を陰で動かしていた笹川や岸らが一体となって統一教会を支持し、保護し、育成していたのである。

UPF会合に安倍元首相がビデオメッセージを送るに至った経緯

 山上容疑者が安倍元首相を狙うに至るきっかけの一つと考えられるUPF(天宙平和連合)への安倍元首相のビデオメッセージについてUPF-JAPAN会長の梶原正義が信者向け配信映像でいきさつを述べている。
 元々UPF-JAPANは3人の元首相にメッセージを依頼したが、それぞれの事務所から「私たちの〇〇先生を団体の宣伝活動に使いたいだけでしょ」とか「布教のために利用したいだけでしょ」という返答でそっぽを向かれたという。この時点で3人の元首相の事務所は極めて常識的な正しい判断をしていたのである。
 これがトランプ前大統領のビデオ出演が決定して風向きが変わったという。『あぁそれなら自分も出なくちゃいけない』、先方から『やりましょう』と言ってきたとのこと。要するにトランプ大統領が出るなら自分も出なくちゃと安倍元首相側から言ってきたというのである。
 当初、統一教会の宣伝活動には協力できないと妥当な判断をしていたにも拘らず、トランプが出るなら自分も出なくちゃと何ともアメリカ追従の主体性のない判断。この判断が自分の死を招く結果になったとしたら大きな判断ミスと言える。

(2022年7月31日 記)