合使山(925m)〜惣見山(904m)

【前書き】
 早い季節の移り変わり。ぼうっとしていたら秋山は直ぐに終わってしまう。これまでに何度も体力不足で貴重な季節を逃しているので、毎週のトレーニングが必要と思う。ただ、いつもどこに行こうかと迷う。特に近場で行きたいところもないので前から候補に挙げていたすみっこさん紹介の合使山へ。嫁の先祖の出身地の一つ。
 ところで合使山と言っても一般的な山ではないので説明します。英彦山の東にある野峠から毛谷村川に沿って国道496号線を南下していくと標高450m付近で左側に合使橋があり、そこから合使林道を辿ったところに登山口があります。国土地理院の電子地図の918.1mピークが合使山、今回の縦走コースは899mピークを通って904.0mピークの惣見山までを往復しようというものです。
 大局的にみると英彦山の東に苅又山三陀山と続き、毛谷村川を越えて合使山、惣見山と続くことになります。合使山の北には犬ガ岳、南には中摩殿畑山があります。

【年月日】’12.9.23(日)
【コースタイム】合使林道ゲート(9:50)→ウッドブロック(10:13)→(迷い)→登山口(10:55)→合使山(11:20)
          →赤色露岩(11:50)→痩せ尾根→(道迷い)→岩塊(12:35)→惣見山(13:20)→岩塊(14:03)
          →赤色露岩(14:25)→合使山(14:45)→登山口(15:20)→(昼食)→林道ゲート(16:00)

【同行者】単独

【写真と解説】


 出だしから失敗ばかり。登山口が林道だからナビも利かないだろうと目的地設定してなかったために合使林道から変な枝道に入り込み、車を大きな岩で擦って傷つけるは、超急坂の行き止まりで車をバックさせるときの恐怖。右は断崖、左は崖。路肩は崩れかけているし。散々な思いをしながら登山口を目指すが、どこが登山口か分からない。
 行ったり来たりしながら地図とコンパスを取り出して何度も眺めるが、どうも自分の位置も登山口も分からない。そもそも目的の合使山の位置も分からない。自分は元々方向音痴だが、特に南に向かう時の感覚が駄目。地図は北を上にして眺める癖がついているので、南に目的地があるとどうも頭の中で位置情報がイメージできない。
 この手の登山道の無い登山は最初から地形図だけで尾根を狙って登る手もあるが、人の登山記録に頼って登ろうと考えているので、どうしても所定の登山口を探そうとする。人の登山記録に頼るのなら最初から記録をじっくり読んで、記録も持参すればよいのに、その記録も全部持参していないからちんぷんかんぷん。最悪。
 最後は地図ではなく、空を見上げて合使山の見当を付け、登山口らしき赤テープの目印を見つける。そこは広場の一角で写真の犬が岳の稜線が目の前に見える場所です。写真右の崖が笈吊岩でしょうか。


 登山口が見付かれば後は登るのみ。と考えて登ろうとするが相当な急坂。倒木を乗り越えて登っていく。何も考えずに登って行ったので帰る時にどこを下って良いか分からなくなる。尾根に出て当然のように右に行こうとするが、そこは急坂でどうも様子がおかしい。地図は右にコースを示しているが、自分は南に向かって登って来たので左に行くのが当然。その辺が自然に理解できない。カーナビは画面上を北に設定しているので南下するときは方向が逆になるのを十分に理解しているのに登山中はそれが自然に理解できないのが怖い。まあ、なんとか合使山山頂に着く。赤白の測量用のポールがあるが、特徴のない山頂。


 合使山から尾根を東に向かいます。明瞭な尾根ですから特に迷うこともありません。合使山から最初の地図上の目印である赤色露岩に着きました。このような礫混じりの岩塊は英彦山でも時々見ます。地学の知識があればもっと楽しく自然を見ることができるのに。測量のためか、登山者によるものか、コースもついて尾根は比較的歩きやすい。


 痩せ尾根を通って写真の木の根の難儀する場所を通過して直ぐ道に迷う。


 木の根の難儀する場所から数mのこの場所。普通に進めば、多分道の状態から考えて右に行く。私も右に行ったが、その先は急坂でどうも進めない。おかしいと思いながら行ったり来たりする中で左下に赤いテープを見付ける。ここが一つのポイントか?


 その後も順調に進み苔むした巨大岩に出会う。右に巻いて振り返るとこの状態。これが岩塊。岩の上を歩くわけではなく、左の木の間の空間から出てきたところ。


 岩塊の後は、倒木の多い比較的平坦な尾根を東に進み、最後は北に進むと砂利の林道に出て、直ぐに惣見山の山頂に着く。
 昼食の弁当を食べていない(間食でおにぎり2個は食べている)が、帰り道を忘れそうなので直ぐに引き返す。


 帰ろうと思ったら倒木だらけの特徴のない尾根で自分がどこから来たのか分からない。地図と磁石はずっと睨みながら来たが、25000や50000分の一クラスの地図では細かいところは分からない。木の間から尾根筋を確認しようともするが、木の陰で良く見えない。ピンクのテープもあるが、このピンクのテープは伐採された木にも多く付けられており、登山用とは思えない。林業関係者はこのピンクのテープを良く使うようで大山でも過去に大失敗した経験がある。
 思ったよりも惣見山に着くのが遅くなったので焦っているのであるが、心配性の私は野宿になる可能性も考えた。別に命の危険は感じないし、山中で2〜3日迷っても耐えられる準備はしているつもりであるが、明日の月曜は会議の予定もあり、下山できないのであれば会社に出席できないと連絡しなければならない。しかし、携帯の電波は圏外。
 それでも何とか岩塊まで辿り付き、ここから先は分かった道で一安心。
 痩せ尾根から撮った英彦山。写真右の変な格好のピークは鷹ノ巣山でしょう。奥に英彦山。その手前が三陀山。左の綺麗な三角形のピークが苅又山


 北を見ると犬が岳の稜線。稜線右のU字型の窪みは笈吊峠でしょうか。


 犬が岳の笈吊峠と思われる部分を拡大しました。


 写真は樋桶山に津民耶馬溪でしょうか。
 その後、合使山まで戻り、いざ林道近くまで下山したのは良いものの、最後の最後で超急坂。尾根の両側は滑床の渓流で降りられず、下山できる地点を求めて水平に移動を繰り返す。登山口よりも相当西側に降りた模様。


 林道をテクテク歩いていると、時々崖の上の鹿が驚いて逃げ、その時に崖の岩を蹴飛ばし、ゴロゴロとこぶし大の岩が降ってくる。危ない。
 道の先に猫みたいな動物がテクテク歩いている。疲れた猫か?と思っていると私に気が付いて細い木に登って逃げるが、木の上で身動きできなくなる。帰って調べてみるとアライグマのよう。北米原産の外来種。このど田舎に舶来の外来種が生存しているとは、日本の自然も危うい。けど見た時に“ラスカル?”と思いました。

【後書き】
 車は岩で擦ってガチャガチャになるし、ビバークの心配をする羽目になるし、全て自分の至らない準備のせい。車を壊して嫁さんに怒られなかったのは良しとするにしても、もう少し自分の精神性のトレーニングの必要性を感じた山行でした。登山道が整備されたら、結構良いコースになるのではないかと思うのですが、多分、この山に多くの登山者を受け入れるだけの力はないでしょう。

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