祖母山(1756m)

【前書き】
 会社の登山部でどこかに行こうか、と言うことになり、どうせ行くなら新しい体験をしてもらおうと考え、山小屋一泊登山の祖母山へ。この登山のために部員には寝袋を買ってもらったり、ザックを買ってもらったり、確実に金を使わせている。そう考えると途中で活動を止めるわけにもいかない。コースは私も未経験の黒金尾根。尾平から天狗岩横まで標高差約1000mを直登するコース。九合目山小屋ではシャブシャブとチャンポンを食べる予定。

【年月日】’12.10.6(土)〜7(日)
【コースタイム】
  〔6日〕(移動)会社(5:05)→(椎田道路〜宇佐別府道路)→大分米良IC→尾平(9:00)
      (登山)尾平(9:20)〜尾根取付(10:15)〜尾根(14:00)〜祖母山(15:50)→九合目山小屋(16:20)
  〔7日〕(登山)九合目山小屋(6:50)〜宮原分岐(8:20)〜林道コース分岐(10:00)〜尾平(11:30)
      (移動)尾平(11:50頃)→大分米良IC→(宇佐別府道路〜椎田道路)→会社(16:35)

【同行者】会社I部長、Iさん、M君

【写真と解説】


 予定より1時間早く9時に尾平に到着。民宿の駐車場に車を止めて準備をする。目標の天狗岩が見えています。この岩の右側の縁を登って尾根に出ます。


 地図で確認すると、手前のV字状に生えた樹木の奥にこんもりと小さな山のように見える尾根がありますが、この尾根の左側を流れる本谷沿いに少し進み、直にこの尾根への登りに入ります。


 川上渓谷の水は青く、非常に綺麗です。魚影が見えないのが少し残念です。


 登りに入っても緑が綺麗。体調は登る前から今一でしたが、思っていたほど急登でもなく、気持ちよく登れる。
 若いM君は先頭でスイスイ登る。その後をIさん。ヘロヘロになりながら登るI部長とIさんの間を私が歩く。標高を示す標識が100m毎にあるので最初は200m毎に休憩する予定だったが、中高年組は疲労が激しく100m毎に休む。


 標高1000m付近から栂の原生林になる。気持ちの良い道。中高年メンバーは自然を見るゆとりもなく、「尾根はまだ?」を繰り返す。私は「天狗の水場と岩屋を通らないと尾根には着かん」とか言いながら、適当に写真を撮る。予定所要時間は標準歩行時間の約1.2倍見ていた。昼食時間も15分間入れていた。予定より1時間以上早く登り始めたのに尾根に着いたのは当初予定と同じ14時。相当遅いペース。


 天狗の岩屋。水場は直ぐ下にあり、非常時には十分に泊まれそう。ヤマケイの「九州の山」には“10名は泊まれる広さ”とあるが、確かにその程度は泊まれそうである。


 天狗岩を左に見ながら主稜線に出る。雲海の上に頭を出した傾山が遠くに見える。右手前は笠松山の一部か。


 周囲にも雲が湧き始める中を祖母山へ向かう。稜線歩きは結構快適。


 天狗岩を振り返る。紅葉は一部始まったばかり。


 祖母山頂もだんだん近くなる。途中で雨がぱらぱらと来たので、全員に本降りになったらすぐ対処できるように指示する。“すぐ対処出来るようにとは、どういうことか?”と聞いてくるので「直ぐにザックカバーを着けて、雨具も直ぐに取り出せるように」。そもそも今日は雨が降ることは想定していなかったので、私も雨具はザックの底の方に入れていた。ザックカバーを着けようとしたら、あら、ザックをカバーしきれない。ザックが入らない。なんちゅうこっちゃ。私はザックを大、中、小3つ持っているが、ザックカバーは大と小の二つしか持っていない。通常ならザックカバーの小で今日持ってきたザック中をカバーできるが、今日はシャブシャブ用の豚肉900gやチャンポン麺4食分に鍋、寝袋等荷物が多い。幸いにも雨はパラパラで終わった。


 さあ、祖母に登るぞ!早く小屋に行かないと寝場所が無くなるかも、と焦る。


 僅かに色付き始めた崖を見る。


 祖母山頂から見た主稜線。東側から雲が湧きあがる。山頂には若いお兄ちゃんがいて写真を撮ってもらう。暫くしたら若いアベックが来て、今から障子岳まで行くという。しかし、もう時間は16時。天狗の岩屋辺りで泊まりか。写真を撮ってくれた若いお兄ちゃんはこれから下山するというし、だいぶ慣れているようではあるが、少し心配になる。
 ところで私が“アベック”と言ったら、今は“カップル”というんじゃ、と指摘される。“アベック”は年寄りの使う言葉らしい。


 九合目山小屋は、私達が着いた時点で16名程度。運良く炬燵が確保できた。豚シャブもチャンポンも好評。シャブシャブは湯を沸かせば、直ぐに食べられるので山ではお奨め。山小屋では全て早め早めに事を進めるべきである。早く食べて、早く片付けて、早く寝る。この辺が部員は分かってない。少し苛立って、2セットの鍋のうち、一セットで湯を沸かして一人で勝手に食べ始める。“ぼーっとしとっても湯は沸かんぞ!”である。今日はビール350mL1本、日本酒500mL、焼酎180mLを持ってきたが、どうも酒が進まない。ビール1本があまり美味く感じない。相当疲れている。日本酒は飲めるが、500mL飲むのは少しきつい。しかし、残すのも嫌なので全部飲む。
 チャンポンも食べ終わり、汁も全部飲み干す。山では食器、鍋等も洗うのではなく、紙でふき取るのが基本。その為には、汁でも何でも材料は残さずに腹に入れるのが最も効率的。おれは自分の分を全て腹に入れて片付けられるようにしたので後は宜しくとさっさと自分の寝床を確保して直ぐに爆睡。M君も直ぐに私の隣に寝る。
 夜の10時前にトイレに行きたくなって目が覚める。朝まで我慢できそうか、自分の体に聞くが我慢できそうにないのでトイレに行くことにする。小屋は消灯して真っ暗なのでヘッドランプを着けて、カーテンを開けてまず炬燵の部屋に出るために足を出そうとしたら足の下に頭の禿げたおじさんの顔が。危ね〜。なんじゃこのおっさんは。
 再び寝ようとしたら他人の鼾で寝られない。このために持ってきたウォークマンを取り出して中島みゆきを聞く。落語も入っているが、落語は聞く気にならない。そのうち再び夢の中へ。
 翌日聞くと、私が寝た後で小屋の中では色々なドラマが展開したらしい。夜遅く到着した登山者。夜遅くまで大声で話す声がうるさいと注意する2階の客。ほったらかしの私たちの用具を夜遅くの登山者のために片付けろと注意する管理人。まあ、汁は早く飲んで片付けるべきです。全て良い経験でした。
 写真は下山時に撮った紅葉。

【後書き】
 登山部、今後の目標は大崩山と雪の臥竜山スノーハイクに決定。大崩は紅葉の時期に。今月末か。標準時間の1.5倍は掛かるだろうから日の出と日没の時間が鍵。自然を楽しもうとしたら体を鍛えるしかない。登山部の皆さん、お分かりでしょうか。わしもですが。


【前書き】
 10月25日に紅葉を見ようと午前3時に起きて、4時間掛けて北谷登山口から登り始めたのですが、約100m程度歩いた所で雨が降り始めたのであっさり撤退。
 五カ所から北谷登山口までの道は狭くて、あまり走りたい道ではないので、今の車の廃車前に是非登っておこうと再挑戦です。夏からずっと腹の調子が悪く、体力的には全く自信が無いので、どこまで歩けるかも挑戦です。

【年月日】’09.11.3(火)
【コースタイム】北谷登山口(6:30)〜黒岳(8:25)〜親父山(9:17)〜障子岳(9:50〜10:00)
          〜ミヤマ公園(10:25-40)〜祖母山(11:50-12:10)〜国観峠(12:47)〜千間平(13:25)
          〜北谷登山口(14:20)

【同行者】単独

【写真と解説】


 北谷登山口から黒岳〜親父山方面に登るには、50m程度引き返した所に杉林の中を下る道があり、そこが登山口になります。
 本谷とアワセ谷と2つの沢を渡り、アワセ谷沿いに登っていきます。途中から左岸の涸れた沢を登っていきます。
 登り始めは、標高1500m位から上はガスでした。
 突然、氷柱が。このような岩場が2箇所ありました。上の方はガスで真っ白です。 


 ガスに突入です。この岩場を越えて、さらに待っているのは急勾配の登りです。
 かなりの勾配でしたが、竹を掴みながら登りました。


 尾根に出ると急に青空が出始めました。感激です。
 縦走路とは逆方向の右に黒岳に向かいます。約5分です。
 途中、綺麗な姿の山が遠方に見えました。祖母山です。霧氷で白く輝いていました。


 今から向かう親父山方面です。右側からはまだ真っ白なガスが湧いています。
 手前の霧氷も綺麗です。最高です。


 親父山から暫く進むとB−29墜落の看板がありました。障子岳の尾根に接触・墜落したそうです。墜落地点に行けそうな様子でしたが、今日は時間との勝負なので先を急ぎます。戦争中は生き延びて、戦後に救援物資を運ぶ途中にこういう事故に遇うとは、運が悪いと言うか。運命でしょうか。


 障子岳です。写真中央の碑には「熊ノ社」と記されています。九州最後の熊の生息地の可能性を秘めた碑だと思います。
 しかし、前回歩いた山口の飯ヶ岳などは、登山道にドングリが敷き詰められたように落ちていました。これが熊の餌にもなっていると考えたとき、祖母・傾山系にそれだけの扶養力があるのか。熊だけでなく、狼も生息しているという人もいるくらいですが。


 写真右上がミヤマ公園です。周囲の景色が非常に良く見える所です。そこを一人で独占ですからもったいないです。
 このコースは一度歩いているのですが、その時はガスの中を歩いたので今回始めて歩くのと同じです。
 九州の山にしては、独特の爽快感があります。


 ミヤマ公園から見た天狗岩だと思います。今日は寄らずに通過です。時間が心配ですし、高所恐怖症ですから。


 右下にこれから歩く登山道が見えます。
 祖母山への最後の登りは、ちょっと怖かったです。岩場と梯子です。ロープと梯子の状況を確認するために、設置ロープを引っ張ったら、梯子が数十cmずれたりして、これで本当に大丈夫かと心配になりました。
 山頂に着いたらおばさん達が「こっちから初めて人が登ってくるのを見た。どこから来たの?」と聞かれました。いつも元気なおばさん達です。
 それにしても最後の岩場は怖かったです。こんなことでは、槍ヶ岳などは無理かもしれません。


 山頂は結構、大勢の人がいました。
 写真は傾山の拡大写真です。九折登山口から傾山を経由して尾平越えまで歩いたことがありますが、良く歩いたものだと思います。
 しかし、傾山〜本谷山〜祖母山〜大障子岩〜前障子のコースを一度通しで歩いてみたいものです。


 写真右奥から今日歩いてきた黒岳、親父山、障子岳です。


 この写真の方向がどこになるのか、地形図と照合しようとしたのですが、今一分かりません。
 北東方面なのですが。


 国観峠まで降りてきました。北西斜面はまだ霧氷が残っています。
 余程気温が下がったのか、霧氷は結晶状態のまま地面に落ちて堆積していました。
 綺麗ですね。


 下山は足に自信が無かったので、風穴コースを止めて、九州自然歩道の千間平方向に下りました。急勾配も無く、正解でした。
 千間平近くの測量用に木を切り開いたピークに登ってみると素晴らしい景色が。
 写真左が阿蘇根子岳・高岳等、写真右が九重連山です。外輪山が分かりません。
 ガスに霧氷に青空、久々の感動の山歩きでした。

【後書き】
 体力的に余り自信が無かったのですが、約8時間の歩行ができました。
 最初はガスの心配から、一転して霧氷の真っ白の世界へ、そして広々としたミヤマ公園からの展望と青空。最高の1日でした。
 九州の熊が絶滅したといわれる中で、最後の生息の可能性が言われる山域です。しかし、中国地方に比べても山域が狭いです。
 下山中に足が攣りそうになりました。体力をつけて、祖母・傾周遊コース縦走に挑戦したいものです。

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