屋久島(白谷雲水峡〜縄文杉〜宮之浦岳〜淀川)

【前書き】
 70歳を過ぎた姉を屋久島に行かないかと誘ったら行くと言う。最近は、農作業が忙しく、膝も痛め、山に登っていないので、せめて室内訓練でもと腕立て、腹筋、スクワットなどをして積極的に散歩もしたが膝は回復する気配がない。挙句の果ては、西日本豪雨が終わって行った3日間のエゴマの移植作業でさらに膝を痛めてしまった。
 夏休みに入ると屋久島の登山者が増えるだろうし、そうすると山小屋も混雑するだろう。台風も何時来るかわからない。膝も悪いが行くなら今しかないと出発したのでした。

【年月日】’18.7.18(水)〜19(木)
【コースタイム】
(移動)
17日(火):自宅(7:00)→(九州道)→鹿児島本港(高速船ターミナル)駐車場着(11:30)
        高速船117便 鹿児島本港(13:20)→宮之浦港(15:10)
        民宿泊り

(登山)※各ポイントで概ね10分程度休憩した時間
18日(水):タクシー 宮之浦(5:30)→白谷雲水峡(5:50)  \2870
       白谷雲水峡入口(6:00)→白谷山荘(7:00)→辻峠(7:50)→太鼓岩(8:07)→辻峠(8:35)
       →楠川分れ(9:50)→大株歩道入口(11:17-40)→ウィルソン株(12:10)→大王杉(13:20)
       →縄文杉(14:15-30)→新高塚小屋(16:15)泊り

19日(木):新高塚小屋(4:45)→第二展望台(5:35)→平石岩屋(6:35)→焼野三叉路(7:25)→宮之浦岳(8:08-20)
       →最後の水場(9:10)→投石平(10:20)→黒味分れ(11:03)→花之江河(11:20)→小花之江河(11:33)
       →淀川小屋(12:45-13:00)→淀川入口(13:50)→紀元杉(14:20)
(移動)
       バス 紀元杉(14:50)→合同庁舎前(15:53) 乗換 合同庁舎前(16:03)→宮之浦港(16:40)
       高速船 宮之浦港(17:00)→鹿児島本港(19:05)
       駐車場(19:20)→鹿児島北IC→(九州道)→帰宅(23:30頃) 

【同行者】姉、甥

【写真と解説】

 白谷雲水峡に行くタクシーの運転手さんが3年前まで高塚、新高塚小屋のトイレの糞便を20L缶に詰めたもの2缶を背負ってトロッコ道まで荷下ろしする仕事をしていたとのこと。
 この話を聞いた後だったので白谷雲水峡の入口で「世界自然遺産屋久島山岳部環境保全協力金」一人当たり2000円、3人分6000円をしっかり払いました。
 白谷雲水峡の楠川歩道を約30年前、楠川まで妻と下ったことがありますが、その当時は白谷雲水峡という名前も無かった様に思います。白谷小屋はその当時と変わらずありました。中も比較的綺麗です。
 私の一眼レフカメラは古いので感度が悪く、苔むす森のように薄暗い景色の中ではシャッタースピードが遅く、手振れします。そろそろ買換え時かもしれません。


 辻峠にある太鼓岩には体力と時間の関係で登る予定はありませんでしたが、太鼓岩から降りてきた青年の勧めで登ることにしました。
 これから歩く宮之浦岳の稜線には雲が掛かっていました。


 枝が2本の杉の幹に繋がった夫婦杉です。大きな杉が幾つもあるのですが、広角レンズを持っていないのでカメラの枠内に収めることができません。


 普通の名も無い杉でもこのような大きさです。
 先週末は700名位縄文杉に人が入ったと聞きましたが、この日は夏休み前の平日なので人もかなり少なかったです。


 縄文杉に北展望デッキと南展望デッキが出来て景観が変わっていました。30年前は展望デッキも無く、縄文杉を始めて見たときはその存在自体に非常に感動しましたが、展望デッキが出来、その周囲に低木が生長し、縄文杉が見えにくくなり、後数年もすればほとんど縄文杉は見えなくなるのではないかと思います。
 展望デッキが作られたのは観光者による縄文杉周囲の土壌の踏み荒らしや樹皮への接触の防止だと思いますが、周囲の樹木で縄文杉が見えなくなれば観光客も近いうちに激減するだろうと思います。
 多くの山に入る観光客が縄文杉見学を目当てにしていますが、縄文杉頼りはもう止めた方が良いかもしれません。そういえばウィルソン株の外観も昔に比べると迫力が無くなりました。
 屋久島の森と山、海と人全体が素晴らしいと言う売り出し方にした方が良いのではないかと思います。


 新高塚小屋に泊まりました。甥の鼾で一睡もできませんでした。一晩中甥を小突いて鼾を止めようとしましたが、鼾が止まるのは数呼吸だけで無駄な抵抗に終わりました。
 予定では5時半に小屋を発つ計画でしたが、下山路の紀元杉のバスの時刻に間に合わなければ、最終の高速船にも乗れなくなります。計画を変更して早めに小屋を発つつもりでしたが、タイミングの良いことに他の登山者の目覚ましが4時頃に鳴ったのでそれに合わせて起床し、荷物を整理していると大半の登山者も起きだしてきました。
 連日暑く、雷も怖かったので、早朝のうちに距離を稼ぐためにとにかく荷物をザックに詰め込んで暗いうちに小屋を発ちました。こうしていなかったらバスに間に合わないと言う最悪の事態に陥っていたかも。
 ヘッドランプの明かりで森の中を進み、日の出を森の中で迎えますが、木々の間から見える朝日は朝焼けで真っ赤です。その赤い光の筋が森の中に射してきます。
 樹林帯を越えた平石岩屋からの宮之浦岳です。夜間に登って日の出を見たという青年が下ってきました。下る途中にサルの群れに出会ったそうです。数年前に増殖していた鹿は麓で駆除されたと聞きましたが、今度はサルが増殖しているのでしょうか。


 山頂から北の海に硫黄島、開聞岳などが見えました。
 写真は左から開聞岳、桜島、大隅半島の高隈山ではないかと思います。


 今日はとにかく暑い。きつい。膝が痛くなりそう。腰も痛めそう。息が上がる。山登りが苦しいと初めて感じました。ザックの重さは約13kg。最近は山に登っていないので急に登るとこんなものかもしれません。
 おもしろい岩を見て気を紛らわすしかありません。


 翁岳の今にも滑り落ちそうな岩。


 投石平から黒味岳の登山者。ここにも登りたいのですが、いつも体力と時間的なゆとりが無くパスしています。


 花之江河です。数年前に鹿が湿原を踏み荒らしているのを見ましたが、所々鹿の侵入を防ぐ囲いがありました。湿原全体の保護ではなく、局所的な保護。これで良いのでしょうか。
 ところで帰りの運転は甥が大半してくれたので助かりました。歳をとると長距離運転に支障が出始めます。特に下山から休む間もなく連続して運転する場合は特に。鼾の件はこれで許してやろう。

【後書き】
 今回は本当にきつかった。山登りには普段から山に登っておくことが必要と痛感しました。
 姉は今回が始めての健脚向きの山登りだったようですが、70歳を過ぎて、重い荷物を担いでこのコースを歩ききるとは大したものだと思いました。
 自然の楽しみ方は色々あると思いますが、ナイトウォークは良さそうに思いました。