伝書鳩

 先日、モモを散歩に連れて行こうと家を出たら何か大きな鳥が、押さえつけていた獲物の鳥を手放して飛んで逃げていきました。押さえつけられていた鳥は立ち上がろうと数度動きましたが、直に動かなくなりました。そのまま放置するのも近所迷惑なので鳥を回収すると、それは可愛らしい顔をした鳩でした。背中と胸を鋭い嘴で深くえぐられた跡があり、道路に血と肉片も飛び散っていました。

 

 両足に足環があったので確認すると“KOREA WRPC 2022 ・・・省略・・・・・・”と印字されています。日本の複数の鳩関係の協会に問い合わせましたが、韓国の組織とは交流が無いので調査のしようがないとの返答でした。
 想像するにこの鳩は、2022年に韓国で伝書鳩レースに出場し、誤って日本まで飛んできて1年以上ドバトに交じって生活してきたのでしょう。何とも哀れで悲しい鳩です。
 思えば、家の近くで猛禽類がドバトを捕まえて食べている現場を見たことがあります。最初に太い羽根を嘴でくわえて抜き、次に小さな羽毛を抜いていきます。この時、一回突くごとに辺り一面に羽毛が舞い散ります。今回の現場にも羽毛が舞い散っていました。

 伝書鳩レースの帰還率を調べてみると「100〜700kmのレースの場合、40%台」という数字もあり、1000kmクラスでは10%台まで落ちることもあるようなので伝書鳩にとっては相当過酷なレースのようです。

 モモはホットカーペットや足温器の上でうつらうつら寝ていますが、この鳩はレースに出て、迷子になって、1年以上異国で生活した挙句、最後は猛禽類に襲われて絶命。哀れを感じます。

 南無阿弥陀仏。

(2023年12月23日 記)