破綻したクラスター対策

 遂に岡江久美子さんが新型コロナで亡くなった。埼玉では自宅待機していた人が病状急変して自宅で亡くなった事例が2件発生した。新型コロナで日本は末期症状に陥ってきた。

 アビガンの有効性が世界で認められつつある。発症初期に投与するのが効果的とされているが、日本では新型コロナを発症してもほとんどPCR検査は受けさせてもらえないので余程運の良い人でないと発症初期からアビガン投与されることは無い助かる命も見捨てられるのである。

 なぜこのような状態になったのか。
 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、新型コロナ対策としてクラスター対策を重点的に行ってきた。そしてPCR検査もクラスターの追跡と重症者に用いるものとしてPCR検査の拡充に力を注いでこなかった。感染経路不明の感染者が1か月以上前から急拡大しているにもかかわらず政府も専門家会議も根本的な新しい対応策を打ち出さなかった。

 4月22日付けで専門家会議が、「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」という文書を出した。この中で専門家会議は、やっとPCR等検査体制の拡充を提言しているが、今頃言ってももう遅いのである。日本経済新聞電子版4月23日付け『滞るコロナ検査、結果まで1週間 民間委託拡大カギ』で民間検査会社の現在の受託件数が約2000件/日で民間の検査能力は約4000件/日とされている。モーニングショーの玉川氏などが民間に委託すれば1日数万件処理できるなどと何も業界のことを知らないくせにほざいていたが、やはり実態はこの程度なのである。民間の立場としては、@日経電子版にもあるようにPCR装置が新たに調達できない、A検査技師の新たな雇用は新型コロナ鎮静化後に余剰人員となる、B簡易検査キットが開発されるとPCR装置は不要となるので投資が無駄になる。

 新型コロナが発生した時点で政府が直ちにPCR装置の確保を感染研と地方衛生研究所に指示し、医療用マスク、ガウン、フェイスシールド等の防護用品の確保を命じておけば、現在のように院内感染も拡大しなかったのではないかと思う。全て後手後手である。その頃、官邸では国民に2枚の欠陥だらけのアベノマスク配布等を考えていたのであろうが、466億円もあれば十分な個数のPCR装置が確保でき、医療用防護品も確保できたのではないかと思う。

 今回の日本の新型コロナ対策を見るにつけ、安倍だけでなく、専門家会議メンバーも緊急事態に対する対応能力が相当低いと感じたやっていることが世界標準でないのであるから、政府と専門家会議は国民に説明する責任がある。

 なぜ早期にPCR検査の拡充をしなかったのか。既に世界中でPCR装置の獲得競争が起こっている現状ではもう新規調達は手遅れである。

 なぜクラスター対策に固執したのか?専門家としての名声を上げるために日本国民を犠牲にしたのではないか?もしそうだとしたら専門家会議のリーダーは未必の故意による殺人犯罪者ではないのか。岡田教授がモーニングショーでつぶやいた一言に『論文を書きたいがために感染研はPCR検査を手放さないと聞いた』というのがある。専門家会議や感染研がもしそういう自分たちの名声獲得で動いているとしたら許せるものではないのである。

 コロナが収束したら日本の対応の総括が必要であるが、日本にはそういう風習がないので闇に葬られるのだろう。日本のマスコミにはそういう点を追求する能力もない。

(2020年4月24日 記)

以下は5月4日(5日更新)日経電子版記事の抜粋
 『これまでの1カ月は政治や行政、専門家会議が時間を浪費し、迅速に対応しなかった怠慢の期間だったともいえる。さらなる負担を国民に強いる次の延長期間が始まる今、スピード感を持った対応が求められている。』

(2020年5月5日 追記)

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