ひきこもり死

 NHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」を見た。ひきこもり者数100万人。その内、中高年(40〜64歳)のひきこもりが61万人。現在、80代の親が50代のひきこもりの面倒を見る8050問題が深刻になっている。そして、親が亡くなった時がそのひきこもりの子供の死ぬ時になっている。

 中高年のひきこもり者の多くは最初は働いていたようである。失業や職場でのいじめ等が原因でひきこもりになったのか。今でこそハラスメントはいけないこととされているが、つい最近まで職場での上司による「辞めてしまえ」、「死んでしまえ」と言ったパワハラは普通の事であった。つい最近も東証一部上場企業のCASAの宮地正剛社長による役員に対する「死ぬほど苦しめ」、「耐えれんかったら電車に飛び込め」等の発言が問題になっている。自分自身もこういうパワハラは経験したことがあるが、大体こういうパワハラをする人間は会社での立場がそのまま人間性の上下と同一と勘違いしている。ある意味相当な馬鹿である。当人たちはそれを理解していない。概して自分の無能の責任を部下に押し付け、パワハラに走っているのである。

 近所にも中高年のひきこもりと思われる家がある。庭木は伸び放題で幽霊屋敷の様。家の中で生活せず常に駐車場に止めた車の中で生活している。夏や冬は車のエアコンを効かせるためだと思うが車のエンジンを掛けているので近所はうるさくてたまらないだろうと思う。

 ひきこもり100万人は日本の人口の約1%に相当する。その両親も含めると関係者は300万人。人口の約3%である。兄弟や親戚も関係者とすると相当な数になる。要するにひきこもりの問題はどこか遠くの問題ではなく、皆の身近にある問題だと思う。親戚、知り合いにひきこもりはいるでしょう?

 このひきこもり問題に役所も対応はしているようだが、法の隙間で十分な対応がなされていないこともNHKスペシャルで扱っていた。これからひきこもり死は増大するだろう。日本は弱者を切り捨てる社会になった。情けない社会である。その内、必ずこのしっぺ返しを食らう日が来ると思う。

(2020年12月10日 記)

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