老いたマックスと糸トンボ

 昨年7月にマックスが保健所に保護されたことは、「マックス保健所に泊まる」に書いた。その時はもう死期が近いと思っていたが、あれから1年以上経ってもまだ頑張っている。この間、さらに2回保健所に保護された。保健所には迷惑をかけた。引き取りに行くたびに始末書のようなものを書かされたが、さすがに3回目は恥ずかしくて妻に行かせようとしたが、妻は仕事の都合が付かず、結局私と長男が行った。

 その当時は、マックスは夜中に庭を歩こうとして物に引っ掛かったと言っては悲鳴を上げ、体のどこかが痛いのか、悲鳴を上げ、とにかく夜中にほとんど毎晩悲鳴を上げるのでその対応に追われて睡眠不足になっていた。夜中の1〜2時に大声で鳴くこともあれば、明け方の4時頃に鳴くこともある。こちらも夜中に起こされてマックスの世話をしていざ寝ようとしても寝られないことが多い。私も歳である。そもそもなぜ鳴くのかが解らなかった。隣近所にも非常に迷惑をかけた。普通ならとっくの昔に苦情が来てもおかしくないのであるが、隣近所とは親の代から50年以上の付き合いなので寛大に見てもらえている。安楽死させることを考えたこともあるが、マックスはまだ必死に生きようとしているので最期まで看ることにした。

 最近は、マックスもほとんど歩くことが出来なくなった。満足に立てないのだから小便も大便も自分ではできない。小屋の中で小便を垂れ流しにしていることもある。マックスがより良い生活ができるパターンが最近やっと解った。朝と夕方に体を支えて立たせて小便をさせるのである。大便は自分で歩かせながらさせるのが一番出が良い。歩かせると言っても今では数歩歩いたら倒れる。それでも家の塀に寄りかかりながら歩かせると大概大便もする。この生活パターンが定着したら、夜中にもめったに鳴かなくなった。後肢内側にこぶし大の膨れがあり、がんだと思って、人間の痛み止めを飲ませたりもしたが、見当外れだったかもしれない。

 数年前にアトピーだと言われた腹、胸、手足の毛はほとんど抜けた。首輪は体と擦れて毛が抜け、垢と一緒に首輪に固着するので大分前に外した。写真は大便が終わって、小屋の段ボールを敷きかえる間、倒れて待つマックス。目は白く濁って視力は無い。食欲だけはまだある。最近は犬用の肉の缶詰を与えているが、非常によく食べる。今ではそれだけがマックスの楽しみかもしれない。

 数日前、マックスに夕食を与えていると庭に糸トンボが飛んで来た。小学生の頃は糸トンボを良く見たが、この50年位は見たことが無かった。カメラを持ち出して撮影している間にマックスは食事も終わり、小屋の中でジャージャーと小便を大量に出してしまった。ごめんごめんとマックスに謝りながら小屋から引きずり出して小屋の掃除をする。本当に手が掛かるが、これまであまりかまってやらなかった罪滅ぼしだと考えている。

 今年の夏は暑いので小屋を日陰に移動させた。それでも外は暑い。休みの日には小屋に水を掛けたり、小屋の周囲に何度も打ち水をしたりしているが、水は直ぐに乾き暑い。

 マックスの老化は、まるで人間の老化を見ているようだ。自分も直にマックスのようになるのだろう。誰が食事や下の世話をしてくれるのか。

(2013年8月17日 記)

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