大阪既に医療崩壊、それでもやるのかオリンピック

 大阪での新型コロナによる自宅待機者が一万人を超え、救急搬送も受入れ病院が見つからず救急車の中でまる二日間過ごすような例も出てくる状況になった。新型コロナの重症病床稼働率は100%を超え、中等・軽症病床で重傷者を看ている。以前は血中酸素濃度が95%を切ると要注意と言われていたが、現在は90%未満にならないと救急搬送の対象にもならない。完全な医療崩壊である。そしてまだ新型コロナの感染者は爆発的に増え続けている

 こんな状況下で東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が大会期間中に看護師500名を日本看護協会に要請した。看護師は現在、全国的に不足している。さらにワクチン接種が遅れる中、5月からワクチンも大量に入るように言われているが、問題なのはワクチン接種の接種者、即ち、医者と看護師の不足である。ただでさえも医者と看護師が不足している時にオリンピック・パラリンピックごときに回す医者も看護師も日本には存在しない。

 私は元々東京でのオリンピック・パラリンピック開催には反対であった。
 東京を近いうちに巨大地震が襲う可能性は極めて高い。また、駿河湾から日向灘沖にかけての南海トラフ沖地震発生の切迫性も高まっている。私が言っているのではなく、気象庁が言っている。また、梅雨や台風で毎年のように大災害が発生して自衛隊が出動している。こんな危険が予想される中で“おもてなし”など出来る訳がないではないか。もし、オリンピック・パラリンピック開催中に日本で自然災害が起きても、“おもてなし”を優先するなら被災者は放置して、外国から来た観客と観光客を優先して救助・接客する必要がある。

 日本はルールをあまり守らない国である。外国からの入国者は2週間隔離が原則だが、実際の入国者はその間自由に行動している。行政が全く管理・監視していないのだから外国からの入国者は野放しと同じである。こんな状態だから外国で発生した新型コロナの変異種が次から次に直ちに日本に入ってくる。決めたことを守らない、実行しないというのはある種日本の特徴である。

 この話は既に一部で指摘されいるが、戦前の日本軍の失敗策と同じことを政府はやっている。それは戦力の逐次投入である。必要な時に必要なだけの戦力を投入せずに戦力をちょびちょび様子を見ながら出すために敵は易々と日本軍を撃退できる。現在発令されている緊急事態宣言もそうである。短期集中といって政府は早期の解除を目指しているが、それが間違いなのである。感染症の専門家は一度感染者を徹底的に抑え込まないと今後も何度も感染爆発が発生すると指摘しているのに目先のGDPの低下を恐れて早期解除を目指す。まあ早く解除しないとオリンピックが中止に追い込まれるのを心配しているのかもしれないが、そもそもオリンピックを誘致したこと自体が失敗だったのである。

 新型コロナのインド株が日本でも見つかった。新型コロナの死亡者が1万人を超えた。丸川五輪相が東京都に主催者としての医療体制を2週間前から質問しているが、未だに返事が無い、と発表。もう混乱状態である。

 老人に対するワクチン接種が始まっているが、まだ医療関係者の半数以上は未接種である。政府の考えていることが出鱈目である。コロナに接触する可能性の高い医療関係者が最優先であろう。

 本当に政府及び自民党の無能・無策。テレビは毎日、小池東京都知事の会見を15時から放送するが、何の意味があるのか。県境を越えないでください、行動自粛してください、と都知事が毎日言うべきことではない。一方で店舗の自粛協力金を1年間以上事業規模に応じた制度に変更しないなど怠慢の限りではないか。

 国民に御願いをする前に行政は医療体制、検査体制、隔離体制の拡充、事業規模に応じた補償などを実施すべきである。

 不要不急の行動自粛と言うが、家に籠って病気になっても誰も面倒を見てくれない。自己管理が重要なのである。健康維持のために積極的な外出も必要である。若者に対する批判が多いし、当初自分も批判的であったが、若者に1年以上自粛を要求するのは無理であるし、やってはいけないことである。

 テレワークを推奨しているが、企業に入ってから始めて社会人教育を受ける日本の高校生や大学生は大半がテレワークに対応できないし、社員教育も出来ない。テレワークに対応できるのは、まだ日本の企業の極一部であると思う。だから現在の緊急事態宣言下でJRなどを利用した出勤者数が減らないのである。テレワークを本当に定着させようとするなら大学教育の根本的な改革と集団4月入社の制度から改める必要がある。

 柔道を創始した加納治五郎が1940年の東京オリンピックを誘致したが、日中戦争で返上した。1964年の東京オリンピックでは聖火リレーを見に行った。今回のオリンピックはどうなるか。

 余計な事であるが、森会長の女性蔑視発言が世界的な批判を浴びたが、これが大騒動になるのなら、来年の北京オリンピックの開催は絶対に許されることではない。中国はウイグル人をジェノサイド(大量虐殺)しているとされているのであるから。この疑惑が明確にならない限り北京オリンピックの開催など許されるものではない。

(2021年4月27日 記)

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