世界は反イスラエルに!

 ちょうど一か月前の10月7日にパレスチナのガザ地区を実効支配するハマスがイスラエルに奇襲攻撃を行い、1400人以上の市民や兵士を殺害し、240人以上の人質を取った。これに対してイスラエル軍は直ちに空爆を開始し、また、アメリカや欧米はイスラエル支持を表明した。この問題を表面的にとらえれば、確かにこれはテロであり、ハマスが悪いとなる。アメリカが言うように『民主主義国家に対するテロ』となる

 しかし、本当にそうなのか?

 ちょうど一ヶ月経ち、イスラエルの空爆を始めとする学校、病院、難民キャンプ等に対する無差別攻撃でガザの死者は一万人を超え、その内子供は4104人となっている。ガザの罪もない女子供を無差別で殺害し続けるイスラエルのどこに支援されるべき正義があるというのか

 そもそもイスラエル建国からして欧米の傲慢からなされたことである。
 ユダヤ人は2000年前に国が滅亡し、パレスチナの地を追われた。ユダヤ人とはユダヤ教を信奉する人々の事で旧約聖書を信じ、キリストを救世主と認めていない点がキリスト教と異なる。また、キリストを処刑したのがユダヤ人であったことからもユダヤ人はキリスト教徒から敵視された。キリスト教改革者のルターもユダヤ人虐待を薦めている。例えば、ユダヤのシナゴーグや神学校を焼き払え。ユダヤ人の家を打ち壊して田舎に追放しろ。宗教書を取り上げろ。ラビの伝道を禁止し、従わなければ処刑しろ。ユダヤ人を撲滅するための策を実行しろ。ユダヤ人を農奴として働かせろ、等。凄まじい嫌われ方である。このような中でユダヤ人の一部はキリスト教で禁じられていた高利貸しで財を築いていくが、ユダヤ人に対するキリスト教徒による迫害はナチスによるホロコーストでピークに達する。

 19世紀頃からユダヤ人は「先祖の土地に国を作ろう」と動き出すが、第一次世界大戦中の英国による三枚舌外交の中で英国はユダヤ人富豪からの資金と引き換えにユダヤ人国家建設を支持し、ホロコーストに対する欧米人の負い目もあって1947年にパレスチナを二つに割る案が国連で採択され、翌年にユダヤ人がイスラエル建国を宣言した。これに納得できないアラブ諸国は直ぐにイスラエルに攻め込んだがアメリカの強い支援を受けるイスラエルが勝利し、国連によってアラブ人の土地と認められた土地にまでイスラエルは侵略し、アラブ人の土地を奪い続けて現在に至っている

 以上の経緯を見て分かるようにイスラエルの建国及び現在に至るまでのイスラエルによるパレスチナ人の迫害がユダヤ人と欧米の理不尽な我儘と傲慢さからなされたことが分かる。
 問題点を要約すると以下の3点である。
 @2000年前に住んでいた土地を要求するユダヤ人の傲慢さとそれを支援する民主主義国家と自認する欧米の理不尽さ
 Aパレスチナ人の人権を無視し続けたイスラエルと欧米の責任
 Bユダヤ人の莫大な資金に支配される欧米民主主義

 そもそも『この土地は我々の祖先が2000年前に住んでいた場所だから(そこに現在住んでいる住民を排除して)自分たちの国を建国させろ』などと言う不当な要求が何故この20世紀に通ったのか。これは聖書という特殊な世界観を共有するユダヤ教とキリスト教を信奉する国が主導で決めたことである。そこにアラブ人やパレスチナ人を始めとするイスラム教徒の人権や権利は彼らの頭の片隅にも存在しない。欧米は未だに『民主主義、民主主義』と豪語する。しかし、その民主主義とは仲間内だけの話である。仲間でないイスラム教徒や貧乏人、パレスチナ人の事などどうでも良いと考えているのである。それは一方的にイスラエルのみを支援し、イスラエルのパレスチナ人居住区への長年の侵略行為を許し続けてきた欧米の態度を見れば明らかである。

 今回のハマス攻撃でアメリカのバイデン大統領は、直ちにイスラエル支持を表明した。何故か?そうしなければ来年の大統領選挙で確実に負けるからである。
 アメリカの大統領がイスラエルを批判することは絶対にないのである。出来ないのである。もし、そんなことをすればアメリカのユダヤ人とキリスト教福音派の連中が資金力と集票力で大統領の追い落としに掛かるからである。 イスラエル問題に関してアメリカ大統領の発言はイスラエル支持以外に最初からあり得ないのである。これが欧米の言う民主主義の本質なのである。要するに金と集票力。欧米が批判する権威主義国家とあまり違わないのではないか。

 イスラエルはパレスチナの女子供を殺しまくっている。さらにイスラエルの閣僚エリヤフは、『ガザに原爆を落とすのも一つの選択肢』と述べたこういう国を欧米は未だに支持し、停戦を拒否し続けている。要するにイスラエルがパレスチナ人を虐殺し続けるのを黙殺しているのである。

 殺されたパレスチナ人の関係者の中には復讐を誓う人間も多くいるであろう。それは当然の権利である。何故ならイスラエルが復讐心でパレスチナに対して10倍返し、100倍返しの復讐戦を行っているからである。それを許すだけでなく、支援している欧米に対してもパレスチナ人の復讐心は向かうであろう。それは当然である。何故なら欧米の支持無くしてイスラエルが暴虐の限りを続けることは困難だからである。

 因果応報。作った罪は自分で償わなければならない。復讐の連鎖が続く。そうさせているのは欧米の民主主義国家と自称する国々なのである。

(2023年11月7日 記)

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