尖閣問題、悪いのは日本

 1月1日付け朝日新聞国際面「尖閣、現状維持で合意」の記事。尖閣諸島の領有権をめぐり、1982年に当時の鈴木善幸首相が、来日したサッチャー英首相との首脳会談で、中国との間で問題を実質的に棚上げしている、という趣旨の説明をしていたというもの。両首脳のやりとりを記録した文書を英公文書館が12月30日付けで機密解除して判明した。

 日英首脳会談は、82年9月20日に首相官邸で行われ、鈴木氏は尖閣問題について「(中国のケ小平氏と会談した際に、日中)両国政府は大きな共通利益に基づいて協力し、細部の違いは脇に置くべきだとの結論に容易に達した」と説明。「具体的に問題化することなしに現状維持で合意し、問題は実質的に棚上げされた」と語ったという。

 この件に関し、日本の外務省幹部は31日に「尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、中国側と『棚上げ』で合意したことなどない。そもそも、棚上げすべき領土問題は存在しない」と話したという。

 尖閣諸島が日本の領土であることは間違いないであろう。しかし、日中国交回復の場で田中角栄が尖閣問題を先に口にしたのも誰もが認める事実なのである。領土問題が存在しないのなら何故日本の首相の方から領土問題を口にするのか。この時点で外務省の「領土問題は存在しない」という言い分は破綻しているのである。

 この尖閣問題に一方的に動きを見せたのは、日本の野田による国有化である。竹島にしても北方領土にしても国の指導者が紛争地を訪れるだけでも問題になり、日本も韓国とロシアに抗議している。今回の国有化はそれらの行為以上の現状変更である。紛争事項を片方が一方的に現状変更しようとすると戦争になるのである

 中野剛志著「世界を戦争に導くグローバリズム」集英社新書の中で尖閣問題に対するオバマ大統領の記者会見の発言を取り上げている。『「日中間で対話もせず、信頼醸成措置もとらずに、この問題が深刻になっていくのを見ているだけなのは重大な間違いだと、安倍首相に直接、言ってある。」とも明言している。ここでオバマ大統領が牽制している相手は、中国ではなく、日本である。』
 アメリカは、尖閣問題で中国と戦う気はないのである。

 現在、マスコミをはじめ世間では、尖閣問題について強気の発言をすることが勇ましくて、勇気のある人間であるような風潮が見て取れるまるで太平洋戦争中の軍部やマスコミの扇動と同じである。 

 私は、尖閣国有化は、完全に日本に非があると考える。

(2015年1月4日 記)

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