世帯分離

 “世帯分離”が何のことか分らない状態というのは幸せなことである。

 国民が困った時に国や行政は何も教えてくれないし、支援もしてくれない。

 母は2010年、平成22年3月に脱水症状で入院していたが、点滴を打って直ぐ元気になった。ところが入院した翌々日の朝に病院で目が覚めなかった。血糖値が24mg/dLまで低下しており、ブドウ糖をどんどん注入したが、全く血糖値が上昇せず、病院がお手上げだと泣きついたので済生会病院に救急搬送した。命は取り留めたが、低血糖脳症で生きる屍となった。

 年老いた老人の体に自ら強力に血糖値を下げる働きが生じるはずもなく、これは完全な医療ミスだと思っているが、どこにも訴えるすべがないので放置している

 ところで済生会病院は救急病院なので命を取り留めた後は、早急に転院させる必要があり、療養型病院に転院した。その入院費は月に12万円程度であった。相当な金額である。ところが過去に親を同じ病院に入院させていたという人の話では入院費は月に5〜6万円であったという。この違いは一体何なのか。妻は色々友人に聞いて回ったようである。そして行き着いた結論が“世帯分離”だったのである。

 要するに子供と同一世帯で家計も同一にしていると子供の収入をベースに入院費を取られるのである。

 そこで早速、世帯分離の手続きをした。世帯分離をしたからと言って何も生活が変わるわけではない。今まで通り住所は一緒であるし、単に家計は別と役所が認識するだけであろうと考えている。家計が別と言っても今まで通り私の扶養家族に入れている。そして母の入院費は約7万円に下がった

 最近、藤田孝典著『下流老人』朝日新書を読んだ。自分自身も下流老人になる可能性はあると思っている。この本の中に行政は生活保護についてであるが、「言わなければ何も教えないし、助けない」というスタンスがあると書いている。今回の母の入院の件でも私はそれと同様の印象を持った。

 調べてみると世帯分離をすると親の介護費も安くなるようである。同様のことで困っている人のためにこの項を書いた。少しでもこの情報が役に立てばと思う。

(2015年12月23日 記)

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