猫のシマシマ帰らず

 昨年7月から飼っていた猫のシマシマが、今月20日の夕方に家を出てから戻らなくなりました。布団で一緒に寝ていたので、いなくなると非常に寂しいものがあります。また、今回は幾つかの後悔や反省すべき点があるのでシマシマとの出会いからまとめてみたいと思います。

母親猫がシマシマを連れてきた
 シマシマの母親は、童話:ねこのさいごのにもつで紹介したトラの数年後の妹のシロクロです。シロクロは名前の通り、白黒のまだら模様の小柄な猫で目力の強い特徴がありました。飼ってやろうかと家に入れたこともありましたが、外の方が良いというので朝晩に餌だけ与えていました。そもそも町内は50〜60年前と変わらず猫は外飼いが当然というような風潮があり、近所には相当数の猫がうろついているので自分も半分はその意識が残っています。調べてみるとこういうのは「地域猫」と言うのかもしれません。
 そのシロクロが昨年6月12日の夕方、トラ模様の子猫を連れてきたのです。シロクロは私たちの方に腹を向けて寝そべり、トラ模様のよちよち歩きの子猫におっぱいを飲ませます。まるでその姿を私たちに見せて、赤ちゃんが生まれたよ!と教えに来たような印象です。子猫は夕日に輝く縞模様が綺麗でした。子猫を捕まえようと外に出ると子猫は直ぐに逃げます。その日は出会いだけで終わりました。そして、この日を最後にシロクロは姿を消したのでした。 
 この縞模様の子猫がシマシマです。

母親が失踪し子猫兄弟のみが現れる
 それまで毎日来ていたシロクロが来なくなったのでどうしたのかと心配していると、14日にシマシマが一人で来て、シロクロ用に置いていた餌を食べています。遅れて黒い赤ちゃん猫が来て餌を食べるようになりました。
 その当時の2匹の写真です。黒い方は首に白いテープの屑のようなゴミが付いています。手前がシマシマです。黒い子はクロと呼ぶことにしました。
 

 シマシマは光の当たり具合で毛の色調が変わって見えます。
 
 

兄弟で仲良く庭で遊ぶ
 母親がいなくなった兄弟は2匹で生きていくしかありません。私はあの日、12日に母親のシロクロから子猫の育児を託されたと思い、面倒を見始めました。面倒を見ると言っても2匹は地域猫と言うか野良出身なので私には慣れていません。ただ、餌をやって2匹が遊ぶのを遠くから眺めるだけです。
 夜が明けるとどこからともなく2匹でうちの庭に来て、餌を勝手に食べて、2匹で戯れて、遊び疲れたら干からびた土の入った小さな植木鉢に2匹で入って休んでいます。そして、夜になるとどこかに帰っていきます。
 本当に1日中元気に遊びます。庭の草の中でかくれんぼをしたり、じゃれあったり。可愛いものです。
 季節は梅雨です。雨の時には軒下の植木鉢に2匹で入ってじっとしています。軒下と言っても風に吹かれた雨が2匹の体に掛かるのです。余程、その植木鉢が気に入ったのでしょう。
  ←2匹が裏庭の土間で戯れる様子です。(21.6.22)
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猫風邪に罹る
  7月になりまだ兄弟で毎日元気に遊んでいました。時々、おやつをやって馴らそうとしますが、まだ心を開いてくれません。おやつをやって近づいてきた時に捕まえて部屋に連れて行き反応を見たりします。そうこうする内に10日頃からくしゃみ、目ヤニが出るようになり、7月13日に兄弟を捕まえて、動物病院に連れて行きました。シマシマの方が症状が重かったので注射を打って、ノミ取りの薬を塗ってもらいました。その後、シマシマの症状は悪化しました。食欲も元気も喪失し、もう長くないかもと言う状態になりました。この頃クロは猫風邪から回復してシマシマにじゃれつきますが、シマシマはもう鼻が詰まり、目ヤニで左目も潰れて瀕死の状態です。しかし、猫風邪の特効薬は無いと医者から言われていたのでどうすることもできません。
 それまで毎日来ていたのに遂に7月17日から兄弟が姿を見せなくなりました。前日のシマシマの病状からシマシマは死んでクロが傍に付いているのかな、と考えていました。

シマシマ一人で戻る
 3日間姿を見せなかった後の4日目、20日の朝5時に外を見るとシマシマが一人で来ています。これまで私にあまり馴れていなかったのにこの日は家に入ってきたので面倒を見てシマシマと一緒に寝ました。一晩中シマシマが乳を探して私の体を探ってくるので寝られませんでした。クロはどこに行ったのか。どうなったのか分かりません。16日の状態ではクロは猫風邪から殆ど回復、シマシマは瀕死の状態だったのですからクロが猫風邪で死んだとは考えられません。
 いずれにしてもシマシマは一人ぼっちになって私を頼って戻ってきたのに間違いありません。
 ←電池で遊ぶシマシマです。(21.7.26) 

完全室内飼育か否か
 猫の飼育が室内完全飼育の方向にあることは少し理解していましたが、去勢や運動の面で迷いがありました。
 取り合えず部屋に寝床を作ってやります。これまで飼った猫は段ボールに毛布を敷いて、「ここで寝ろ!」と言うと直ぐに理解していたのですが、シマシマは拒否するのでキャリーバッグに毛布を敷いて寝床にしました。トイレは庭の一角に砂を敷いてそこをトイレにしました。
 昼間はよく遊びます。遊ぼうと誘ってくるので電池を転がして追いかけさせたり、外に出ると犬のように走り回って付いてきます。庭の草に隠れたり、部屋の中でも物陰に隠れて私が探すと急に私の前に大の字にジャンプして驚かせたり。電池転がしも自分で遊びの方法を順次変えて、それを私に要求してくるので中々賢い猫だと思いました。
 12月になると最初500g程度だった体重も3kg近くなり、雌猫に興味を示すようになってきたので完全室内とまではいかなくても極力屋内で過ごせるようにケージとトイレを買いました。トイレの砂には最初紙製のものを準備しましたが、全く用を足す気配がないのでベントナイト製の猫砂に変えてみましたが、砂の上に腹ばいになったり、砂を食べたり、駄目でした。外のトイレの砂を少し入れてここがトイレだと教えてあげれば良かったのだと思いますが、ここで完全室内飼育に変える決断をしなかったのが今回の失踪の原因だと思います。 
  ←猫じゃらしで宙返りするシマシマです。(21.12.12)
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寒がりのシマシマ
 トラは子供の時に一冬屋外で過ごしているので冬でも毛布を敷いた段ボールの中で黙って寝ていましたが、シマシマは猫用ヒーターの猫鍋を買ってあげているにも拘らず、夜中の2〜3時になると寒いと言って私を起こします。ケージから出してやるとまず私の胸の上に上って顔に鼻を擦り付けます。次に私の顎を舐めて、軽く顎を噛んでから布団の中に入ってきます。布団の中をどんどん潜って私の両股の間に入り、股間をフミフミしてから朝まで寝るのです。昼間も石油ストーブやファンヒーターの正面に陣取って本当に寒がりの猫でした。
  ←ケージの中にぶら下げた猫じゃらしを良く考えた末に取るシマシマです。(21.12.23)

【3つの後悔と反省】
 シマシマがいなくなって連日周辺を探しましたが、周辺は大半が住宅地で延々と宅地が続くのでどこに行ったのか、全く見当が付きません。そして、野良猫もそこそこいます。
 縄張りを持った野良又は地域猫なら餌があれば安定的にその地区で生活できますが、中途半端に家で飼われた猫は縄張りが無いので家の外に出て、運悪くボス猫に遭遇すると追い回され、家の遠方まで逃げると迷子になって帰ってこられなくなるのでしょう。特にシマシマの場合は、家の極近傍の地図しか頭に入ってないはずですし、縄張りを持った地域猫に遭遇したら勝てるはずもないので逃げるしかありません。

@シマシマに対して申し訳ないこと
 今回、一番の被害を受けたのはシマシマです。経験したことのない寒さ、飢え、野良猫に追い回される恐怖を与えたことは間違いありません。もう死んだかもしれませんし、誰かに助けられているかもしれませんが、それは分かりません。

A中途半端な対応だったこと
 猫を家の外に出すといなくなることは経験済みでした。最初に飼ったミーは病院に連れて行った帰りに抱いていた私の手に噛みついて逃げ、それきりでした。クーは夜中に外に出せとうるさいので先手を打って外に出したらそのまま帰らず。トラは外の猫同士の騒ぐ声を聞いて飛び出してそのまま帰らず。
 こうなることは薄々分かっておりながらシマシマを早めに完全室内飼いにしなかったのは中途半端な対応だったと思います。まだ大丈夫だろうという甘い考えがありました。

B母に冷たい対応をしたこと
 我が家は元々は犬派で猫には全く興味のない家でした。そこに今から20年前に長男がミーを拾ってきて、猫との付き合いが始まりました。ミーは手のひらに乗る程度の大きさで母がスポイトでミルクを飲ませて育てました。母とミーの親密度は私とシマシマの比ではない位に強かったと思います。そのミーがいなくなった時、母は連日「ミーや、ミーや」と言って近所を探し回っていましたが、私は仕事が忙しく、また、ミーと接する時間も大してなかったので、母の悲しみを理解してやることも出来ませんでした。
 今回やっと当時の母の気持ちを少し理解することが出来たと思います。そして、母に悪かったと今になって思うのです。母が亡くなった後にこんなことを思ってもどうしようもないのですが。後悔先に立たず、です。

(2022年1月31日 記)

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